2 節で見た は 「 で連続で、その他の では連続ではない関数」 であったが、これを応用すると、 「 で連続かつ微分可能で、その他の では連続ではない関数」 も簡単に作れる。例えば がそのようなものの一つである。 では、あいかわらず連続ではないが、不等式
「 の近くで であり、
ならば も存在して となる」により となることがわかるし、
また、ワイヤストラス関数 は 「すべての で連続でかつすべての で微分可能でない関数」であったが、 これを応用すれば、 「すべての で連続で、 でのみ微分可能な関数」を作ることもできる。 それは、 とすればよい ( での微分可能性は、ほぼ上の と同様に示される)。
最後に、不定形の極限を求めるときによく使われる ロピタルの定理に関する例を一つ紹介する。 ロピタルの定理とは以下のような定理である。
の近くで連続かつ微分可能である関数 , が、 では で、 であり、
(10)
これもほとんどの微分の教科書に載っている定理であり、
通常はあまり条件を考えることなく、例えば、
しかしこのロピタルの定理は、条件を満たさないものに対しては適用できない。 学生の計算では、不定形でないものに対して適用する間違いを見ることは多いが、 厳密には (10) の存在も確定しなければ成立しないので、 このように と書いた後に微分を計算するのは、 厳密に言えば本来順番が逆であり、 微分の極限を確認した後でそれが元の極限に等しい、 とすべき形になっている1。
この、「(10) の存在が確定せず、ロピタルの定理が成立しない」 ような例を紹介する。通常は、こういうものがあるとは思わずに、 と書いた後に微分の式を書くのであるが、 この例に対してはそのように書くと正しい極限が求められないことになる。
実は既に本質的にはそのような例を見たことになっているのであるが、 それは 4 節で紹介した であり、 これは であるから、極限
竹野茂治@新潟工科大学