講義に関するアンケートについて (2003 年度)


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はじめに

ここ数年新潟大学工学部では、学期末の最後の講義の時間に 講義に関するアンケートを行なっていて授業改善に役立てているようですが、 それに習って、今回第 5 回目の講義時間に 「講義に対する不満、意見等」を自由に書いてもらいました。

ただし、授業改善のためのものとしたかったので、 学籍番号と氏名を併記してもらい (出席と数えることはしません)、 さらに「不真面目、あるいは無責任な意見は書かないこと」と注意をした上で 書いてもらいました。 備忘録も兼ねて、学期末の講義アンケートともに、それを以下にまとめておきます。
(05/15 2003; 08/21 2003)

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私的に行ったアンケート


概要

回答は小さい紙を講義の最初に配って、 それに「講義に対する不満、意見等」を自由に書いてもらって、 講義の最後に提出してもらいました。 回答総数は 42 枚、うち

ということで、ほぼ全員に近い数が現状で良いという意見でした。 私も今後も現在の形を続けて行きたいと思っています。

かなりの数が肯定的な意見だったのですが、 それにはいくつかの理由があると思いますが、

などが上げられると思います。

よって、講義の後半では意見が変わる可能性はありますし、 あるいは履修登録者全体に対象を広げると意見も変わるでしょう。 ただし「授業改善」ということに関しては 講義に出て来ている学生の意見を考えれば良いだろうと考えています。

なお、私は現在の講義は必ずしも最善とは考えてはいません。 以前は現在とは少し違う講義方法を取っていましたし、 現在でもそちらの方が大学の講義としてはふさわしいと思っています。 それは

のような形式を取っていて、そのような講義が大学では一般的であり (それなりの理由もあります)、 むしろ学生はその形式に慣れるべきである、という立場を取っていました。

しかし、アンケートを取ってみると毎回大多数の学生に同じことを指摘され、 最初はそれは単に 高校までの受身の勉強方法が抜けていないんだろうと考えていたのですが、 あまりにその意見が多いので、

と考えある程度の譲歩を行なっているわけです。

しかし、学生には私の現在の講義方法に甘えず 高校までのような受身の学習法から脱却し、 必要だと思われることを自分で考え、それを自分で勉強する、 講義はむしろその自分での勉強を補佐する場と考える、 という能動的な学習法を身につけてもらいたいと思っています。

また、この講義の方が他の先生の講義よりわかりやすい、 といって他の講義を批判したりしてはいけません。 むしろ他の「普通の」大学の講義、私の講義よりも実のあるちゃんとした講義に 慣れていくべきだろうと思います。
(05/15 2003)

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書かれていたこと

書かれていたことに対する私からの回答を上げておきますが、 肯定的な意見は昨年とほぼ同じなので、回答はここには書きませんので、 昨年度のアンケートに対する回答のページ (answer1.html) を参照してください。


(05/15 2003)

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回答


もっと宿題を出して欲しい

上にも書きましたが、以前はもっと理論の説明等に時間をさいていて、 演習問題や宿題などは今よりずっと少ない形式を取っていました。 現在はそれを改善して、なんとか理論の説明の時間を削ってやっていて、 私としてはこれがほぼ限度だと思っていますし、 これ以上やれというのはやや甘えすぎだろうと思います。

必要だと思えば自分で教科書についている演習問題をこなしてください。 この教科書はヒントなども丁寧に書いてありますので、 自分でできると思います。

また、演習問題を解くことは理論の理解のために必要ですが、 工学ではそうでないことも多いかも知れませんが、 大学入試のように、固定したパターンを身につけるために演習問題を解くのは 必ずしも望ましくなないと思います。 大学を卒業した者が期待されているのは、 パターン化されている問題を解くことではなく、 社会に出たときに、そこに現われるパターン化されていない 未知の問題を解決することだろうと思います。 そのためには「理論の理解」とその応用力が必要だろうと思います。

もちろん工学では計算できること、数学を道具として使えること、 ということが大事なことは確かですが、 要するにこう計算すれば良いんでしょ、だけじゃなくて、 理論の展開も多少は知っておいてもらいたいと思います。
(05/15 2003)

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物理や力学、あるいは身近な例への応用例を紹介して欲しい

私は数学者なので、実はあまり具体例を知りません。 教科書に載っている例位を紹介できる程度です。 応用例をもっと知りたいということでしたら別な本を当たってください。

元々は数学の道具は物理や工学から出たものかも知れませんが、 そこから物理的な部分を取り除いて純粋化、単純化、抽象化したのが数学の道具です。 そのようにすることで、応用範囲を広げて別なことにも使えるようにしているのです。 だから、本当は具体的な例を上げると、そういう場合に使うんだという 固定したイメージを与えてしまいがちで、 別な場面に応用することを思いつきにくくしてしまうので、 具体例は上げない方が良い、という考え方もあるだろうと思います。

例えば高校の数学の教科書 (工業数理は別として) には、 それが使われる例がそんなに書いてあるわけではないですよね。
(05/15 2003)

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面積分、線積分、ストークスの公式などを重点的に説明して欲しい

例年のペースからすると、面積分や線積分はちゃんとやりますが、 ストークスの公式は残念ながらなかなかちゃんとはやれていません。 多分今年も公式の使い方まではなかなかいかないのではないかと思います。

必要なのはわかりますが、足りない部分は自分で補うしかないと思います。
(05/15 2003)

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出席を取って欲しい

出席を取る、ということには色々問題があります。

私は、講義には出席しなくても、自分で教科書で勉強して理解でき、 それでちゃんと点数が取れるならそれで問題はないと考えています。 それも立派な勉強方法だと思いますし、 むしろ大学は自分で勉強する、ということを覚えていく場だとも思っています。

講義に単に出てきて、寝ているだけ、あるいは友人と話すだけの人に 出席点をあげて、 出席しなくても自分で図書室で勉強している人に出席点をあげない、 そんなことに意味があると思いますか ? 出席しているかしていないか、それは点数とは無関係だと思います。

よって出席は今後も取るつもりはありません。
(05/15 2003; 08/21 2003 修正)

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質問の間を取って欲しい

今でも多少は取っているつもりですが、まあ区切り毎に取るようにしましょう。 なお、話している途中でも何か気になったら、いつでも質問して構いませんよ。
(05/15 2003)

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テストの前にはテスト範囲を細かく指示して欲しい

「テスト範囲を細かく」という意味が今一つわからないのですが、 この問題が出る、とかこの問題が出ない、とかいう意味でしょうか。 とすると、それはテストの意味がないんじゃないでしょうか (^^;

一応テスト範囲に関してはテスト前にそれなりに指示するつもりです。
(05/15 2003)

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お勧めの参考書、問題集はないか

大学では、よほど一般的な科目でなければ 高校のような参考書や問題集といったものはありません。 とりあえずこの教科書でも十分勉強できると思いますが、 何かあげるとすれば、シラバスでも紹介している

あたりでしょうか。これはかなり問題がたくさんついています。
(05/16 2003)

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大学側の用意したアンケート


概要

大学側の用意したアンケートは 2 種類あって、 マークシートのものは大学側に提出してしまうので、私の手物には残りません。 手元にあるのはもう一方のワラ版紙の方で、ここには、 選択肢形式のものと自由記述欄があり、選択肢の項目は以下の通りです。

各項目に対して個人的な意見はありますがそれはおいておくとして、 集計結果を上げます。回答者数は 43 名 (履修登録者数は 66 名) でした。
(a)(b)(c)(d)
no. 110 2 5 4
no. 2 71110 9
no. 3 030 5 5
no. 425 1 1 0
no. 510 1 5 2
no. 6 5 2 120
no. 711 519 1
no. 8 0 010 1
no. 9 1 0 0 1
no.10 1 1 5 0
no.11 X X 1 0
no.12 X X X 3
意見が多かった項目は で、これを見ると、講義は分かりやすかったけど、 勉強しなかったのはいけなかった、という意見が多かったように見えます。 最近、私は講義では としているので、こういう意見が出るのはある程度予想できます。

講義のわかりやすさについては、私は本来は

という形があるべき姿だと思っていますが、 最近の学生は、わからなくても自分からは勉強しない、 という学生が増えているように感じるので、 どちらかというと高校流の分かりやすい講義を行っています。 ただし、決していい講義だとは思いません。

また、演習問題等に関しては、強制力を持たせることについては

と考えていますので、今後も強制力を持たせるつもりはありません。 ただ、そのために結局問題を解かない、 という学生が増えているのはかなり深刻な問題だと思いますが、 それは本来は我々ではなくて、学生が責任を取るべき問題だと考えています。

意見が 0 の項目を拾ってみると

のようになりました。ここからも
勉強しなくても分かる、ということはないし、 宿題がなかったわけでもなく勉強する機会はあったし、 クラスの人数は少なく、講義への集中や質問がしやすい環境であり、 シラバスとの対応も取れていて、計画的に勉強したり、 予習を行うこともできたにもかかわらず、 自分では勉強しなかった、教員に質問する程予習などもしていなかった
という学習態度が見て取れるようです。

大学の教員は、今回のようにアンケートを取って 講義改革等に乗り出しているようですが、 学生の意識はむしろ低下の一途をたどっているように見えます。 それは、私にはむしろ学生の考え方に問題があるように思います。 「大学」「講義」の意味について、あるいは自分の行動は自分で責任を取る、 といったことに関して、もう少し考えるべきだろうと思います。
(08/21 2003)

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書かれていたこと

自由記述欄には、以下のようなことが書かれていました。


(08/21 2003)

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回答


ついていけなかった

「ついていけない」というのは、逆に分かりやすかったという意見が 多かったことからすると、「少しも勉強しなかった」 「この講義に必要な基礎知識が欠けていた」というなのだろうと思います。 必要なものを補うこと、それは自分の責任だろうと思います。

また、大学の単位制の良いところは、難しい科目を 2 年がかりで 取ることが出来る、ということだとおもいます。 もしもう一度理解したければ基礎科目を復習して再チャレンジしてください。
(08/21 2003)

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あえて出席を強制してほしかった

多くサボったことを後悔している、とありましたが、自分の責任です。 もう大学生なんですから。 私に責任をなすりつけないでください。
(08/21 2003)

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授業内容に魅力がない

基礎学問はその辺は難しいところです。 例えば、あなたが中学生に因数分解を教えるとして、 どんな魅力を伝えられますか ? その応用を見せる、という手がありますが、 大学の数学の応用例は、そのような例をほとんど知らない我々数学の教員よりも、 工学の教員に聞くべきだろうと思います。

また、数学はそういう例を排除して抽象化する方向にまとめられています。 それにより、修得が易しくなり、また応用が広くなっているのです。 数学がどんなところに役立つか見えない、というのはある意味で仕方がないのです。 (cf. 前回のアンケートの回答 (応用例) 参照)
(08/21 2003)

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テキストと別な解き方が多く、適切なテキストにして欲しかった

解き方としては私は分かりやすさ、自然な解き方、を優先して考えています。 多分私が書いたテキスト以外では (そんなものはありませんが)、 テキストと異なる解き方が出ても仕方ないでしょう。 どの教科書を使っても同じだと思います。 むしろ、中でも今のが一番ましだと思っています。

それに、一つの解き方だけを見るより、色んな解き方を見た方が、 自分にあった解き方、理解しやすい解き方を選択できるので むしろいいのではないでしょうか。
(08/21 2003)

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作成日: 06/27 2011
竹野茂治@新潟工科大学 (shige@iee.niit.ac.jp)