3 ある程度の回数やり続けた場合

次に、ある程度の回数やり続けることを考える。

1 回投げて 1 度の賭けが終わる場合もあるし、 10 回投げてやっと 1 度の賭けが終わる場合もある。 しかし、実際に行える時間は「賭けの回数」というよりも、 「投げる回数」の方だろうから、 例えば賭けを続けてやることにし、 10 円玉を $N$ = 1000 回連続して投げたとして、 その結果いくら位もらえることになるかを考えてみる。

この場合は、参加料 $c$ = 1 万円も毎度の賭けで支払うことになるので、 それを賭けの回数分引かなければいけないことに注意する。 また、丁度 $N$ 回目で賭けが終わらない場合もあるが、 その場合は賭けの参加料は払うが賞金は貰えない、 と考えることにする。

例えば、$N=4$ で (ウ、オ、オ、ウ) (「ウ」=裏、「オ」=表) となった場合は、 1 回目の賭けでは 20 円、2 回目は 10 円の賞金がもらえ、 3 回目は終了していないので賞金はなし、 参加料は 3 回分払うので、結局 $30-30000$ 円の収入ということになる。

今、例として $N=3$ の場合を、最後に結果が確定した賭けまでに投げた回数で 表 1 に分類してみる。 表がでる確率は $p$、賞金は $Y=Ab^X$ 円、 賭けの参加料は 1 回 $c$ 円とする。

表 1: $N=3$ の場合の一覧
回数 並び 確率 賞金 参加料
0 (ウ、ウ、ウ) $(1-p)^3$ 0 $c$
1 (オ、ウ、ウ) $p(1-p)^2$ $A$ $2c$
2 (オ、オ、ウ) $p^2(1-p)$ $2A$ $3c$
(ウ、オ、ウ) $p(1-p)^2$ $Ab$ $2c$
3 (ウ、ウ、オ) $p(1-p)^2$ $Ab^2$ $c$
(オ、ウ、オ) $p^2(1-p)$ $A+Ab$ $2c$
(オ、オ、オ) $p^3$ $3A$ $3c$
(ウ、オ、オ) $p^2(1-p)$ $Ab+A$ $2c$


$N$ に対する収入の期待値を $A_N$ とし、 賞金の期待値を $A^+_N$、参加料の期待値を $A^-_N$ とする。 また、$A_N$, $A^+_N$, $A^-_N$ のうち、 最後が表で丁度終わっているもの (表 1 でいえば回数が 3 の 4 通り) の期待値部分をそれぞれ $B_N$, $B^+_N$, $B^-_N$ とする。

この場合、 $A_N=A^+_N - A^-_N$, $B_N=B^+_N - B^-_N$ で、 $N=3$ の場合は表 1 より

\begin{eqnarray*}B^+_3 &=& Ab^2 p(1-p)^2 + 2(A+Ab) p^2(1-p) + 3A p^3,\\
B^-_3 ...
...1-p),\\
A^-_3 &=& B^-_3 + c (1-p)^3 + 4c p(1-p)^2 + 3c p^2(1-p)\end{eqnarray*}


となる。また、$N=1$ のときは、容易に
\begin{displaymath}
B^+_1 = Ap, \hspace{1zw}
B^-_1 = cp, \hspace{1zw}
A^+_1 = B^+_1, \hspace{1zw}
A^-_1 = B^-_1 + c(1-p)\end{displaymath} (1)

となることがわかる。

竹野茂治@新潟工科大学
2013年6月19日