6 具体例

最後に (6)、 および (9) を用いて、 いくつかの $\phi_n$, $\psi_n$ と、 $J_{n+1/2}$, $N_{n+1/2}$ を計算してみる。

$n=0,1,2$ については既に示してあるので、$n=3$ から。 (6) より、

$\displaystyle \begin{array}{ll}
\phi_3
&= \displaystyle x^2\phi_1 -5\psi_2 =...
... 15x,\\
\psi_3
&= x^2\psi_1 + 5\phi_2 = x^2 + 5(x^2-3) = 6x^2-15
\end{array}$
となる。これを (9) で計算してみると、
$\displaystyle \xi_3
= x^2\xi_1 + 5i\xi_2
= x^2(x+i) + 5i(x^2-3+3ix)
= x^3+6ix^2-15x-15i
$
となるが、上の $\phi_3$, $\psi_3$ の計算より易しいわけではなく、 複素形の $\xi_n$ で計算することに意味やメリットはほぼない。 これらにより、$J_{7/2}(x)$, $N_{7/2}(x)$
\begin{eqnarray*}J_{7/2}(x)
&=&
\sqrt{\frac{2}{\pi x}}\,
\left\{\frac{x^3-15...
...t{\frac{2}{\pi x}}\,
\frac{(x^2-15)x\sin x+(6x^2-15)\cos x}{x^3}\end{eqnarray*}
となる。 これもついでに複素形の (8) を見てみると、
\begin{eqnarray*}M_{7/2}(x)
&=&
\sqrt{\frac{2}{\pi x}}\,\frac{(-i)^4}{x^3}\,e^...
...qrt{\frac{2}{\pi x}}\,\frac{(x^2-15)x\sin x+(6x^2-15)\cos x}{x^3}\end{eqnarray*}
となる。 $J_{7/2}$, $N_{7/2}$ より $\sin$, $\cos$ の処理が多少易しくはなるが、 やはりさほど複素数の式を使うメリットはない。

次は $n=4$

$\displaystyle \begin{array}{ll}
\phi_4
&= \displaystyle x^2\phi_2 -7\psi_3
...
... \psi_4
&= x^2\psi_2 + 7\phi_3
= 3x^3 + 7(x^3-15x)
= 10x^3-105x
\end{array}$
より、
\begin{eqnarray*}J_{9/2}(x)
&=&
\sqrt{\frac{2}{\pi x}}\,
\frac{(x^4-45x^2+10...
...{\pi x}}\,
\frac{-(x^4-45x^2+105)\cos x+(10x^2-105)x\sin x}{x^4}\end{eqnarray*}
となる。

$n=5$ も計算すると、

$\displaystyle \begin{array}{ll}
\phi_5
&= \displaystyle x^2\phi_3 -9\psi_4
...
...i_3 + 9\phi_4
= x^2(6x^2-15)+9(x^4-45x^2+105)
= 15x^4-420x^2+945
\end{array}$
より、
\begin{eqnarray*}J_{11/2}(x)
&=&
\sqrt{\frac{2}{\pi x}}\,
\frac{-(x^4-105x^2...
...\,
\frac{-(x^4-105x^2+945)x\sin x-(15x^4-420x^2+945)\cos x}{x^5}\end{eqnarray*}
となる。 いずれも微分計算を必要としないので、 (2) よりも (6) による計算の方が だいぶ楽であることがわかるだろう。

なお、[2] 40 には、球ベッセル関数

$\displaystyle j_n(x)
= \sqrt{\frac{\pi}{2x}}\,J_{n+1/2}(x)
= \frac{\mbox{\bold...
...{\mbox{\boldmath {$\alpha$}}_n\mathop{・}\mbox{\boldmath {$v$}}_{n+1}}{x^{n+1}}
$
の式が、$n=8$ まで紹介されている。

竹野茂治@新潟工科大学
2022-01-11