2 公式

まず、一般のベッセル関数 $J_\nu(x)$、ノイマン関数 $N_\nu(x)$ について、 次の漸化式が成り立つことがよく知られている (例えば [2] 38)。
  $\displaystyle
J_{\nu+1}(x)+J_{\nu-1}(x) = \frac{2\nu}{x}J_{\nu}(x),
\hspace{1zw}
N_{\nu+1}(x)+N_{\nu-1}(x) = \frac{2\nu}{x}N_{\nu}(x)$ (1)
また [2] によれば (39)、半ベッセル関数は 以下のように表されるようである。
  $\displaystyle
\begin{array}{ll}
J_{n+1/2}(x) &= \displaystyle (-1)^n\sqrt{\fr...
...,x^{n+1}
\left(\frac{1}{x}\,\frac{d}{dx}\right)^n\frac{\cos x}{x}
\end{array}$ (2)
この公式 (2) がを使えば、 とりあえずすべての半ベッセル関数を $\sin x$, $\cos x$ で表すことができるが、 (2) は商の関数の $n$ 階微分、 しかも $1/x$ が微分の度にかけ算されるという公式なので、 大きい $n$ に対する計算はかなり手間がかかる。

実際、これを用いて、最初の 3 つの微分の部分を計算してみると 以下のようになる。

\begin{eqnarray*}\frac{1}{x}\sqrt{\frac{\pi x}{2}}J_{1/2}(x)
&=&
\frac{\sin x...
...^{-2}-3x^{-4})\cos x)
\\ &=&
\frac{3x\sin x-(x^2-3)\cos x}{x^5}\end{eqnarray*}
このうち、それぞれ 3 つ目の $J_{5/2}$, $N_{5/2}$ は、 公式 (2) で計算するよりも、 むしろ漸化式 (1) と 1/2, 3/2 次の関数を使って 計算する方が、微分の計算なしに代数計算だけで済む分易しい。

(2) の公式でも上の計算のように、 ひとつ前の計算を利用して次の次数が計算できるが、 やはり微分の計算は必要なので、 漸化式 (1) の代数計算に比べれば多少面倒である。

竹野茂治@新潟工科大学
2022-01-11