4 y2 の一般の場合

この節では、3 節と同様にして、 一般の $L$ に対する $y_2$ を考えてみることにする。

$1\leq k<L$ に対し、

\begin{eqnarray*}\mathrm{Prob}\{y_2=k\}
&=&
\mathrm{Prob}\{\lfloor p_2L\rfloor...
...2<k/L\}
\ &=&
\mathrm{Prob}\{(k-1)(R_M+1)/L\leq x<k(R_M+1)/L\}\end{eqnarray*}


となり、 $(k-1)(R_M+1)/L\geq 0$, $k(R_M+1)/L\leq R_M+1$ なので、 補題 1 により
\begin{displaymath}
\mathrm{Prob}\{y_2=k\}=\frac{1}{R_M+1}\left\{
\left\lceil\...
...t\rceil
-\left\lceil\frac{R_M+1}{L}(k-1)\right\rceil
\right\}\end{displaymath} (15)

となる。今、(15) の分子 (中カッコ内) を $\alpha_k$ とすれば、
\begin{displaymath}
\alpha_k
=
\left\lceil\frac{R_M+1}{L}k\right\rceil
-\left\lceil\frac{R_M+1}{L}(k-1)\right\rceil\end{displaymath} (16)

となるが、これが 2 つの整数のいずれかとなることを示す。


補題 2

整数 $x=\lceil A+B\rceil -\lceil A\rceil$ は、

\begin{displaymath}
\lceil B\rceil-1\leq x\leq\lceil B\rceil
\end{displaymath}

を満たし、よって、 $x=\lceil B\rceil-1$ $x=\lceil B\rceil$ かの いずれかである。


証明

今、任意の実数 $t$ に対して

\begin{displaymath}
\langle t\rangle = \lceil t\rceil - t
\end{displaymath}

と書くことにすると、 $t\leq \lceil t\rceil<t+1$ より $0\leq\langle t\rangle<1$ であり、よって、
\begin{eqnarray*}x
&=&
\lceil A+B\rceil -\lceil A\rceil
=
\left\lceil \lceil...
...ight\rceil -\lceil A\rceil
=
\lceil B -\langle A\rangle\rceil
\end{eqnarray*}


となる。よって、 $-1<-\langle A\rangle\leq 0$ より、
\begin{displaymath}
\lceil B\rceil-1\leq\lceil B-\langle A\rangle\rceil =x
\leq\lceil B\rceil
\end{displaymath}

が言える。


この補題 2 と (16) より、

\begin{displaymath}
\left\lceil\frac{R_M+1}{L}\right\rceil-1
\leq\alpha_k\leq
\left\lceil\frac{R_M+1}{L}\right\rceil\end{displaymath} (17)

であること、および、$\alpha_k$ $\lceil(R_M+1)/L\rceil-1$ $\lceil(R_M+1)/L\rceil$ かの いずれかであることがわかる。

それは、$\alpha_1$,$\alpha_2$,...,$\alpha_L$ に、 高々 1 だけしか違いがないことを意味し、また、もちろん、

\begin{displaymath}
\sum_{k=1}^L\alpha_k=R_M+1
\end{displaymath}

であるから、これらは、 $(R_M+1)$$L$ 個へできるだけ均等に分割する方法として、 (16) の $\alpha_k$ が 最適 (なものの一つ) であることを意味する。

これにより、$y_2$ の妥当性の保証が得られたことになる。

竹野茂治@新潟工科大学
2007年6月22日