3 y2 で L=2 の場合

簡単のため、まず $y_2$$L=2$ の場合の確率を考えてみることにする。

$L=2$ なので、$y_2=1$ または $y_2=2$ であるが、 (3), (4) より、

$\displaystyle \mathrm{Prob}\{y_2=1\}$ $\textstyle =$ $\displaystyle \mathrm{Prob}\{\lfloor 2p_2\rfloor=0\}
=
\mathrm{Prob}\{0\leq 2p_2<1\}$  
  $\textstyle =$ $\displaystyle \mathrm{Prob}\{0\leq 2x/(R_M+1)<1\}$  
  $\textstyle =$ $\displaystyle \mathrm{Prob}\{0\leq x<(R_M+1)/2\},$ (9)
$\displaystyle \mathrm{Prob}\{y_2=2\}$ $\textstyle =$ $\displaystyle \mathrm{Prob}\{\lfloor 2p_2\rfloor=1\}
=
\mathrm{Prob}\{1\leq 2p_2<2\}$  
  $\textstyle =$ $\displaystyle \mathrm{Prob}\{1\leq 2x/(R_M+1)<2\}$  
  $\textstyle =$ $\displaystyle \mathrm{Prob}\{(R_M+1)/2\leq x<R_M+1\}$ (10)

のようになる。ここで、次の補題を利用する。


補題 1

$\lceil t\rceil$$t$ 以上の最小の整数を表わすとするとき、 $-1<A<B\leq R_M+1$ となる $A$, $B$ に対して

\begin{displaymath}
\mathrm{Prob}\{A\leq x<B\} = \frac{\lceil B\rceil-\lceil A\rceil}{R_M+1}
\end{displaymath} (11)


証明

$-1<A<B\leq R_M+1$ ならば

\begin{displaymath}
0\leq\lceil A\rceil\leq\lceil B\rceil\leq R_M+1
\end{displaymath} (12)

であり、一方、
\begin{eqnarray*}\lefteqn{\mathrm{Prob}\{A\leq x<B\}}
\ &=&
\mathrm{Prob}\{x\...
...\lceil A\rceil+1\}+\cdots
+\mathrm{Prob}\{x=\lceil B\rceil-1\}
\end{eqnarray*}


であり、(12) より、 これらの確率はすべて $1/(R_M+1)$ となる。 よって、(11) が成り立つ。


この補題 1 を用いれば、 (9), (10) より、

\begin{eqnarray*}\mathrm{Prob}\{y_2=1\} &=& \frac{1}{R_M+1}\left\lceil\frac{R_M+...
...\right)
=1-\frac{1}{R_M+1}\left\lceil\frac{R_M+1}{2}\right\rceil\end{eqnarray*}


となる。

$R_M$ が奇数の場合、$(R_M+1)/2$ は整数なので、

\begin{displaymath}
\mathrm{Prob}\{y_2=1\}=\mathrm{Prob}\{y_2=2\}=\frac{1}{R_M+1} \frac{R_M+1}{2}=\frac{1}{2}\end{displaymath} (13)

となり、$R_M$ が偶数の場合は、
\begin{displaymath}
\left\lceil\frac{R_M+1}{2}\right\rceil
=
\left\lceil\frac{R_M}{2}+\frac{1}{2}\right\rceil
=\frac{R_M}{2}+1
\end{displaymath}

なので、
\begin{displaymath}
\mathrm{Prob}\{y_2=1\}=\frac{1}{R_M+1}\left(\frac{R_M}{2}+1...
...ace{1zw}
\mathrm{Prob}\{y_2=2\}=\frac{1}{R_M+1} \frac{R_M}{2}\end{displaymath} (14)

となることになる。

$R_M$ が偶数の場合は、わずかに違いが出ることになるが、 この場合 $(R_M+1)$ が奇数になるので、 それをなるべく等しく 2 つに分けるには $R_M/2$$(R_M/2)+1$ に分けるのが最善であるから、 (13), (14) は、 いずれの場合もある意味で (8) のように 確率を均等にする最良の分け方 (のひとつ) であることになる。 なお、(14) の確率が逆の場合も同じ意味で最良であり、 このような最良の分配方法は一意に決まるわけではない。

とりあえず、$L=2$ の場合は、 $y_2$ はそれなりに妥当なものであることが言えたことになる。

竹野茂治@新潟工科大学
2007年6月22日