2 μ=1/2 の場合

この節では、(5) が通常の波動方程式に帰着できる $\mu =1/2$ の場合についてまず考察する。

通常の波動方程式

\begin{displaymath}
u_{tt}-u_{xx}=0\hspace{1zw}(t>0, 0<x<L)\end{displaymath} (7)

の場合は、よく知られているように、 初期条件 (2) と境界条件 (3) だけでは足りず、 $x=0$ での境界条件 (6) も必要で、 それによりそれらを満たす解の存在と一意性が保証される。

今、$\mu =1/2$ の場合の (5) を考え、 $\eta=2\sqrt{x}$ とし、 $u(t,x)=\bar{u}(t,\eta)$ とすると、 $0<\eta<2\sqrt{L}$ で、

\begin{displaymath}
u_x=\bar{u}_\eta\frac{1}{\sqrt{x}},\hspace{1zw}
u_{xx}=\bar{u}_{\eta\eta}\frac{1}{x}-\bar{u}_\eta\frac{1}{2x\sqrt{x}}
\end{displaymath}

より、
\begin{displaymath}
xu_{xx}+\frac{1}{2}u_x
=\bar{u}_{\eta\eta}-\bar{u}_\eta\frac...
...+\frac{1}{2}\bar{u}_\eta\frac{1}{\sqrt{x}}
=\bar{u}_{\eta\eta}
\end{displaymath}

となるので、(2), (3), (5), (6) は、
\begin{displaymath}
\left\{\begin{array}{l}
\bar{u}_{tt}-\bar{u}_{\eta\eta}=0\h...
...e{1zw}\bar{u}(t,2\sqrt{L})=0\hspace{1zw}(t>0)\end{array}\right.\end{displaymath}

となり、これは通常の波動方程式 (7) の形なので、 これらの初期値境界値によって $\bar{u}(t,\eta)$ が一意に決まり、 それにより $u$ $u(t,x)=\bar{u}(t,2\sqrt{x})$ と求まることになる。

つまり、$x=0$ での境界条件 (6) は、 少なくとも $\mu =1/2$ の場合は必要であることになる。

竹野茂治@新潟工科大学
2009年6月22日