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2 置換積分と部分分数分解

まず、置換積分と部分分数分解を行います。 なお、元の式 (1) は分母が 4 次式、分子は有限な関数 なので、ちゃんと積分は有限な値に収束します。

$\omega=\gamma y$ とすると、

\begin{eqnarray*}
Z(t) & = & 2\pi\int_0^\infty\frac{\cos\gamma yt}{\gamma^4(y^4...
...ma t),\\
W(x) & = & \int_0^\infty\frac{2\cos xy}{y^4+y^2+1} dy
\end{eqnarray*}

とすることができます。以後この $W(x)$ を考えます。

分母 $y^4+y^2+1$

\begin{displaymath}
y^4+y^2+1 = (y^2+1)^2-y^2 = (y^2+y+1)(y^2-y+1)
\end{displaymath}

と因数分解され、よって $2/(y^4+y^2+1)$ を部分分数分解すると

\begin{displaymath}
\frac{2}{y^4+y^2+1}=\frac{1-y}{y^2+y+1}+\frac{1+y}{y^2-y+1}
\end{displaymath}

となります (計算は略)。ということで

\begin{displaymath}
W(x) = \int_0^\infty\left\{
\frac{(1-y)\cos xy}{y^2+y+1}+\frac{(1+y)\cos xy}{y^2-y+1}\right\}dy
\end{displaymath}

となるのですが、この和をそれぞれの積分に分けることが可能かどうかは 実は微妙です。 それは $\cos xy$ を除くといずれも (1 次式)/(2 次式) で、その広義積分は 一般には発散してしまうからで、しかし三角関数がつくと収束する場合もあり (例えば (3) のように) かなり微妙です。 よって、有限な値をそっと引いて行くことにします。


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Shigeharu TAKENO
2003年 11月 27日