4 オイラー方程式の解
本節では、3 節で得られたオイラー方程式を
満たす関数を求める。
が陽に
に依存しない場合、
オイラー方程式 (16) は
容易に 1 回積分できることが知られている。
まず、それを紹介する。
(16) は、
![\begin{displaymath}
F_f-(F_{ff'}f'+F_{f'f'}f'')=0\end{displaymath}](img88.gif) |
(17) |
という
の 2 階の微分方程式に変形できるが、
![\begin{eqnarray*}(F-f'F_{f'})'
&=&
F_ff'+F_{f'}f''-f''F_{f'}-f'(F_{ff'}f'+F_{f'f'}f'')
\\ &=&
f'(F_f-F_{ff'}f'-F_{f'f'}f'')\end{eqnarray*}](img89.gif)
なので、(17) より
となり、よって
![\begin{displaymath}
F-f'F_{f'} = 定数\end{displaymath}](img91.gif) |
(18) |
となる。これは、
の 1 階の微分方程式となる。
さて、最速降下線の問題の場合、
となるので、
![\begin{displaymath}
(1+(f')^2)(H-f)=c_0\hspace{1zw}(>0)\end{displaymath}](img93.gif) |
(19) |
となり、
とすると、
(
),
,
で、
より、
![\begin{displaymath}
(1+(h')^2)h=c_0\end{displaymath}](img99.gif) |
(20) |
となる。これは、変数分離形の微分方程式であり、
より、
![\begin{displaymath}
\sqrt{\frac{h}{c_0-h}}\,h' =\pm 1\end{displaymath}](img101.gif) |
(21) |
となり、
より
であるから、
少なくとも
の付近では、符号は正で、
これを
から
まで積分すれば、
![\begin{displaymath}
\int_0^h\sqrt{\frac{h}{c_0-h}}\,dh = x\end{displaymath}](img103.gif) |
(22) |
が得られる。
(20) より、
でなければいけないことになるが、
(22) で
とすると、
で、
![\begin{eqnarray*}x
&=&
\int_0^h\sqrt{\frac{h}{c_0-h}}\,dh
=
c_0\int_0^{h/...
...splaystyle \sqrt{\frac{1}{4}
-\left(s-\frac{1}{2}\right)^2}}\,ds\end{eqnarray*}](img107.gif)
となる。よって、
と置換すると、
となる。ここで、この
は
を満たすものなので、
結局
と
は、
![\begin{displaymath}
h=\frac{c_0}{2}(1-\cos\theta),
\hspace{1zw}
x=\frac{c_0}{2}(\theta-\sin\theta)
\hspace{1zw}(0\leq\theta\leq\pi)\end{displaymath}](img114.gif) |
(23) |
によって結びつくことになる。
これは、良く知られているように「サイクロイド曲線」を
全体的に拡大 (または縮小) したグラフの
パラメータ表示になっていて、
直径
の車輪で作られるサイクロイドになる。
よって、
は、これを上下逆にした「逆さサイクロイド」
として
によって作られることになる。
次節で、この「サイクロイド曲線」について詳しく見ることにする。
竹野茂治@新潟工科大学
2016年1月8日