一般に、関数 から実数の値を定める 規則を 汎関数 と呼ぶが、 今 (11) の右辺の汎関数を と 書くことにする。
(13)
は、境界条件 (5) により、 , を満たす必要がある。
今、 を、 で十分滑らかで、 を満たす関数とすると、 0 に近い実数 に対して も と同じ境界条件を満たしている。
もし、 が を最小にする解だとすれば、 は、 を動かして考えると、 のときに最小 (極小) になるはずだから、
(14)
(15)
さて、(14), (15) より、 や (の近く) で 0 となるような任意の に対して
(16)
なお、オイラー方程式 (16) は 最速解であるための必要条件であり、 オイラー方程式を満たす関数が必ずしも最速解を与えるとは 限らないことに注意する。 1 変数関数の極値問題でも微分係数が 0 というだけでは、 単なる極小であって最小ではないかもしれないし、 極小ではなく極大かもしれないし、 さらに極小でも極大でもない可能性もある。
しかし、汎関数の最小問題を、 微分方程式 (16) に帰着し、 具体的な関数を求めることを可能にする、 という点で、この方法 (= 変分法) は非常に優れた方法である。
竹野茂治@新潟工科大学