2 問題

問題を定式化すると、以下のようになる。
問題 1 平面上の正方形 ABCD 内に、 A を始点とし C を終点とする連続曲線 $C_1$ と B を始点とし D を終点とする連続曲線 $C_2$ がある場合、 その両者は ABCD 内に必ず交点を持つか。

もちろん、始点や終点の配置はより一般な形にも設定できるが、 それを含むような正方形を取り、 それらの始点や終点を正方形の頂点に延長 (延長線が交差しないように) することで、多くの問題は上の問題に帰着させることができるだろう。

さらに、適当な拡大・縮小や回転、平行移動により、 正方形 ABCD は $[0,1]\times[0,1]$ と見ることができるので、 以下のように連続関数を使って問題 1 を定式化できる。

問題 2 閉区間 $[0,1]$ 上の 4 つの連続関数 $x_1(t),x_2(t),y_1(t),y_2(t)$ があり、
\begin{displaymath}
\begin{array}{ll}
(x_1(0),y_1(0)) = (0,0), & (x_1(1),y_1(1...
...x_2(0),y_2(0)) = (0,1), & (x_2(1),y_2(1)) = (1,0)
\end{array} \end{displaymath} (2)

のとき、
\begin{displaymath}
(x_1(t_0),y_1(t_0)) = (x_2(s_0),y_2(s_0))
\end{displaymath}

となるような $t_0$, $s_0$ ($0<t_0<1$, $0<s_0<1$) が存在するか。

感覚的には、交点は明らかに存在するだろうと思われるし、 Jordan の閉曲線定理よりは易しいが、 こちらは自己交差を許すような曲線なので、 Jordan の定理をそのまま使うことはできない。

また、中間値の定理が使えそうな気もするが、 こちらは $t_0$, $s_0$ の 2 つの値の存在が問題なので、 単純に中間値の定理だけではうまくはいかない。

ということで、ここでは問題 2 を、 ブラウアーの不動点定理を用いて考えることにする。

竹野茂治@新潟工科大学
2012年4月16日