6 最後に

結局、問題 1 は、1 変数関数の場合には肯定的に成立するが、 2 変数関数の場合には成立しないことがわかった。

よって、2 変数関数の場合には、 停留点が一つしかない場合でそこが極大であったとしても、 それが大域的な最大値であるとは限らず、 よって最大値の判別はそれとは別に ちゃんと考察をしなければいけないことがわかる。

停留点だけでなく、すべての点で上に凸であれば その点は明らかに最大点となるので、 例えば命題 1 を使えば、 そのような場合はちゃんと最大点であることも判別できる。

しかし、場所によって凸性が変わるような関数の場合はそうはいかないので、

から大域的な最大値を考察することになる。

よって、2 変数関数の最大、最小は、 一般には単に停留点だけ求めれば、 あるいはその点の局所的な凸性だけ調べれば済むような話ではなく、 そこから先の考察もまだだいぶ必要な、 それなりに面倒な問題となる。

そもそも本稿の内容が自明ではないことは、 多くの微積分の教科書に書いてないことからも想像できるし、 実際私も聞いたことがなかった。 しかし逆に、問題 1 の予想が 2 変数でも成り立っていたならば、 それは当然多くの教科書にも書かれていても おかしくないくらい有用なものだと思うので、 それが書かれていないのはやはりそれが成り立たないことも知られていたと 見るのが自然であろう。

つまり、問題 1 の不成立は自明ではないが、 それが成り立たないということも 多分それなりにちゃんと知られていた事実なんだろうと思う。

竹野茂治@新潟工科大学
2008年12月14日