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1 x の x 乗の微分

$x^x$ の微分は、底も指数も定数でないので、通常の $x^a$$a^x$ の微分の公式が使えずやや難しい。通常は のいずれかを使うのではないかと思われる。

ここでは、例年基礎数理 III で紹介している 2 変数関数の合成関数の微分法:

$z=f(x,y)$$x=x(t)$, $y=y(t)$ を代入した $z=f(x(t),y(t))$ に対して、

\begin{displaymath}
\frac{dz}{dt}=\frac{\partial z}{\partial x}\frac{dx}{dt}
+\frac{\partial z}{\partial y}\frac{dy}{dt}
\end{displaymath}

を用いる方法を紹介する1

$z=x^y$ とすると、

\begin{displaymath}
\frac{\partial z}{\partial x} = yx^{y-1},\hspace{1zw}
\frac{\partial z}{\partial y} = x^y\log x
\end{displaymath}

となるので、$z=t^t$$z=x^y$$x=t$, $y=t$ を代入したものと考えれば 2 変数関数の合成関数の微分法により

\begin{eqnarray*}
(t^t)' & = &\frac{\partial z}{\partial x}\frac{dx}{dt}
+\fra...
...dot 1
= t\cdot t^{t-1} + t^t\log t \\
& = & t^t + t^t \log t
\end{eqnarray*}

となり、よって $(x^x)' = x^x + x^x \log x$ が得られる。

この方法のいいところは、常微分の範疇ではこの関数には使えない 通常の $x^a$$a^x$ の微分の公式が、偏微分では使える、という点にある。

ただし、もちろん偏微分をやった後でないと学生には紹介できない。


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竹野茂治@新潟工科大学
2006年3月5日