Q and A (基礎数理 II; 旧基礎数理 III)


目次


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はじめに

講義に関して出た質問と回答をここに上げておくことにします。 なお、ここの回答は原則竹野による回答です。

基礎数理 II と基礎数理 III の内容が、2007 年度後期から (2007 年度入学生から) 入れかわっています。 よってここの QandA は、2006 年以前の入学生にとっては基礎数理 III、 2007 年度以降の入学生にとっては基礎数理 II の QandA になっています。
(01/27 2008)

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Q and A 目次

1. 講義のやり方での定積分の置換積分は、 置換したところで範囲も変換してもよいか
2. 答案に書かれている○、□、△、×はどういう意味か
3. 答案に書かれている L の反対 (」) のような記号は、 こう書け、という意味か
4. fx(x,x) はどういう意味か
5. 留年生、再履修者はこの基礎数理 II を取れるか
6. B クラスから A クラスに移りたいのですが
7. 部分分数分解で分母が 0 になる値を代入していいんですか
8. e700 の値が関数電卓で出ません
9. ある文字がわかりにくい
10. y(4)y'''' と書いてもいいか
11. 極大値、極小値は「max」「min」 と書いてもいいか
12. 3 次関数の増減表の f' の符号は 係数から決めてもいいか
13. 商の微分で式がごちゃごちゃになるが良い方法は
14. 「問」に変な漢字を使う理由がわからない、見にくい
15. 合成関数の微分は高校で習ったやり方で解いてよいか [Update]
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Q and A 回答


Q.1. 講義のやり方での定積分の置換積分は、 置換したところで範囲も変換してもよいか

A.1.

これは、講義で紹介した定積分の置換積分の話で、 私の紹介したやり方は、まず

定積分を不定積分の値の差と書き直す
のように、定積分を不定積分の値の差と書き直し、 その上で不定積分のレベルで置換積分を行い (u=g(x))、
不定積分のレベルで置換積分を行い計算
のように計算し、最後は、
中の関数を x の式に戻して差を計算
のように中の式を x に戻して x=b, x=a を代入して差を計算してもいいですし、
代入する値を u に直して差を計算
のように代入する方の値を u に直して u=g(b), u=g(a) を代入して差を計算してもいい、という話をしました。

で、この質問は、最初の置換積分を行う段階で、外に出ている代入する値を

置換するときに代入するものも変換してしまう
のように変換してしまっても構わないか、というものでした。 もちろん、これでも構いません。

しかしそれができるようなら それは本質的に定理 27.1 でやっているのと変わらないので (私の方法を使うメリットも少し減る)、 無理矢理私の方法でやらなくても、 最初から定理 27.1 でやっても構いませんよ。
(06/13 2005)

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Q.2. 答案に書かれている○、□、△、×はどういう意味か

A.2.

○は正解、□はちょっと惜しい (少し減点)、△はもう少し悪い (もう少し減点)、 ×は不正解 (点数はあげられない) を意味しています。 それぞれの点数は問題によって違います。

なぜ□を△よりもいいものを表すのに使うのかというと、 □の方が△よりも○に近いからです。
(08/03 2005)

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Q.3. 答案に書かれている L の反対 (」) のような記号は、 こう書け、という意味か

A.3.

いや、違います。それは私の採点のときに書く記号で、 そこまでは合ってる、ということを意味します。 それを目安にすれば、どこで間違えているかわかるでしょう。
(08/03 2005)

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Q.4. fx(x,x) はどういう意味か

A.4.

これは、 「f(x,y)x で偏微分した式 (=fx(x,y)) に y=x を代入したもの」 になります。 同様に、fy(x,x) は、 「f(x,y)y で偏微分した式 (=fy(x,y)) に y=x を代入したもの」 となります。limit を使って言えば、fx(x,x) は、

{f(x+h,x)-f(x,x)}/h
h→0 のときの極限です。

f(x,y)y=x を代入すると f(x,x) となるので、 これを x で偏微分すると合成関数の微分により、

{f(x,x)}x = fx(x,x)+fy(x,x)
となります。 だから、{f(x,x)}xfx(x,x) とは意味が違います。 limit を使って言えば、{f(x,x)}x
{f(x+h,x+h)-f(x,x)}/h
h→0 のときの極限です。
(08/31 2006)

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Q.5. 留年生、再履修者はこの基礎数理 II を取れるか

A.5.

基礎数理 II は、2007 年度入学者から 基礎数理 III と内容が入れ替わりました。 よって、2006 年度以前の入学者にとっては、 基礎数理 II、III は 2008 年度から読み替え科目になります。

よって、

となります。
(01/27 2008)

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Q.6. B クラスから A クラスに移りたいのですが

A.6.

基礎数理 II は、2007 年度入学者から 基礎数理 III と内容が入れ替わりましたので、 それ以降この質問が出るようになりました。 これは、以前の基礎数理 II (現在の基礎数理 III) の QandA のページ回答 (Q.1) を参照してください。
(10/09 2008)

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Q.7. 部分分数分解で分母が 0 になる値を代入していいんですか

A.7.

例を使って説明します。 ただし、以下では A/B は「B 分の A」、 A/BC は「BC 分の A」 という分数を意味することとします。

部分分数分解は通分の逆であり、例えば (2x-5)/(x+2)(x-1) という分数に対して、

(2x-5)/(x+2)(x-1) = A/(x+2) + B/(x-1) ... (1)
となるような A, B を求める問題になるわけですが、 これを解く場合、(1) の分母を払って、
2x-5 = A(x-1) + B(x+2) ... (2)
として、ここから A, B を求めます。 その方法はいくつかありますが、 例えば、以下のようなものが代表的な方法です。

この質問は、この後者の方法に関するもので、 x=1 を代入すれば -3 = 3B より B=-1, x=-2 を代入すれば -9 = -3A より A=3 と簡単に求まるのですが、 この「簡単に求めることのできる x=1, x=-2 という値は、 そもそも (1) の分母が 0 になってしまうものなので、代入してはいけないのでは」 というのが質問の意図だと思います。

まず結論から言えば、これらの値を代入しても構いません。 その理由を、極限の考え方を用いて数学的に説明します。

(1) の式は確かに x=-2, x=1 は代入できない式ですが、 それ以外のすべての x で成り立たなければいけない式です。 よって (2) も、とりあえずは x=-2, x=1 以外のすべての x で成り立つべき式です。

ところで、この (2) の両辺はいずれも単なる多項式ですから、 x=-2, x=1 も込めて連続関数であり、 左辺を f(x) (= 2x-5)、 右辺を g(x) (= A(x-1) + B(x+2)) とし、 例えば x=1 の方を考えますと、

  1. f(x)x=1 でも連続なので、 limx→1f(x) = f(1) となる
  2. g(x)x=1 でも連続なので、 limx→1g(x) = g(1) となる
  3. x=1 (および x=-2) 以外のすべての x に対して f(x)-g(x)=0 となるので limx→1(f(x)-g(x))=0 となる

ということが言えます。この 1., 2., 3. により、 f(1)=g(1) が成り立つことが言えます。 すなわち、(2) が x=1 でも成り立つことになるので、 x=1 を代入しても構わないわけです。

分母を払った式は、 確かに元々分母が 0 になるような x の値に対しては 成り立たないわけですが、 その点以外のその点の近くでは成り立っていて、しかも連続なので、 その点でも成り立つことになる、という仕組みです。 ということで、もっと複雑な場合の部分分数分解でも同様で、 元の式の分母が 0 になる x の値でも、 分母を払った式に代入して構いません。
(03/06 2009)

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Q.8. e700 のような値が電卓で出ないがどうしたらよいか

A.8.

指数、対数の良い例題だとも思いますので、説明しましょう。

私の関数電卓は、指数部が 2 桁までなので、最大で表示できる実数は 9.999999999×1099 までなので、 enn=230 までしか出ません。 それは、電卓で loge(9.999999999×1099) の値を計算すればわかりますが、これは 230.258... です。 よって、e230.258... = 9.999999999×1099 なので、これより大きい e231 は表示できないわけです。

ではどうしたらよいかということですが、まず、 e700 がどれくらいの大きさか考えてみましょう。

e700 = A×10n (1.0≦A<10.0)
とすると、両辺の常用対数を取れば、
log10(左辺) = log10 e700 = 700×log10 e
log10(右辺) = log10 A×10n = log10 A + log1010n = log10 A + n
となりますが、1.0≦A<10.0 より
log101.0 = 0 ≦ log10 A <log1010.0 = 1
より log10 A は 1 未満の小数になります。 よって、
700×log10 e = log10 A + n
より、700×log10 e の整数部分が n になります。

仮に、700 の代わりに 400 でやってみましょう。 「400×log10 e」はもちろん電卓でも計算でき、 この値は「173.7177928」のようになります。 つまり、n = 173log10 A = 0.7177928、となります。 この値から元の A の値を求めるには、 A = 100.7177928 とするだけですから、 これも電卓で求まります。

実際には、上で求めた「400×log10 e」から 173 を引いて、 それに対して 10x という計算をやるだけです。 結果として 5.221469674 と求まります。 これで、結果として

e400 = 5.221469674×10173
であることになります。

電卓の使い方だけわかればよいわけではなく、 指数法則や対数法則を知ることも大事であることが この例からもわかりますね。
(11/19 2014)

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Q.9. ある文字がわかりにくい

A.9.

具体的には、復習問題の際に手書きの正答例を配布していますが、 その中にある、私の手書きの「π」の文字がわかりにくい、 というものでした。確かにそのπは右側の縦線が少し真っ直ぐに 下に長く伸びていたので、πには見えにくかったかもしれません。

しかし、逆にその質問用紙に書かれていた質問者の「5」の文字は、 かなり「5」には見えづらいです (「ζ」のような「5」)。 つまりこの例からもわかりますが、 他人に取って見えにくい、ということは自分ではわかりにくい、 ということです。 よって、注意したいとは思いますが、 本人の努力では限界があります。 もし見えにくい文字があったらその場で指摘してください。
(12/07 2016)

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Q.10. y(4)y'''' と書いてもいいか

A.10.

通常、高階導関数は、階数が少なければ y', y'' などと書きますが、 階数が多くなると y(4), y(5) などと書きます。 階数が多い場合 ' を重ねて書かれたのはすぐにはわかりにくいですし (数えなければいけない)、 狭いところにはあまりうまくは書けなくなります。 実際質問者も窮屈そうに '''' を書いています。

もちろん間違いしではないし、何階導関数からは y(n) と書く、 と決まっているわけではありませんので、y'''' と書いても構いませんが、 注意が必要です。 自分のノートに書く分にはどう書こうが全く問題ありませんが、 試験の答案の場合は、それは採点者に見せるためのものなので 読む人がわかりにくい記号では書かないようにするのが自然でしょう。 中途半端に消しゴムで消していたりするとさらにあいまいな答案となり、 もしかすると減点されてしまうかもしれません。
(12/07 2016)

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Q.11. 極大値、極小値は「max」「min」と書いてもいいか

A.11.

数学の答案では、基本的には認められません。

まず「極大値」と「最大値」が違うことを認識してください。 ひとつの関数に「極大値」が複数存在することがありえますが、 「最大値」は一番大きな値ですから、ひとつの関数にはひとつしかありません 最大値が極大値でない場合もあります。

そして、一般的には「max」「min」は、むしろ 「最大値」「最小値」を表すものとして使用されることが多いので、 「max」「min」で「極大値」「極小値」を表すとは通常はみなしません。 数学以外ではそもそも「極大値」「極小値」という言葉はほとんど使いません。

では、数学の分野ならいいか、というとそれもだめです。 最大値、最小値、極大値、極小値は、英語では以下のように言います。

見てわかるように、「max」とだけ書いても、 それが「最大値」を指すか「極大値」を指すかが確定しません。 よって数学の分野でも「極大値」を「max」とは書きません。
(12/27 2016)

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Q.12. 3 次関数の増減表の f' の符号は係数から決めてもいいか

A.12.

これは、多分 3 次関数 f(x) に対して、 f'(x)=0 の実数解が 2 つあったときに、 f'(x) の符号が になるか、 または になるかのいずれかで、 それは f(x)x3 の係数が正か負かで分かれる、 という話だと思います。

その符号をそのように判断してもいいか、という話であれば、 「3 次関数に限って言えば、それは問題ない」と言えるでしょう。 そのように高校で学んだとも書いてありましたが、 高校の数学 II では微分は 3 次関数までしかやりませんので、 そういう対策を教わったのだと思います。

しかし、通常の微積分では 3 次関数以外の関数も扱いますし、 その場合には単純に係数で決まるわけではありません。 よって、講義で説明したように f'(x) の因数分解をした式から考える、 あるいはその範囲の 1 点の値で考える、という手法が必要になります。

例えば、f(x) が 5 次関数で、

f(x) = (x-3)(x-1)2(x+1)
だった場合、f'(x) = 0 となる xx = -1, 1, 3 ですが、 その増減表は以下のようになります。

x -1 1 3
f'(x) 0 0 0
f(x)      

単純に が交互に現れる場合ばかりとは限りません。
(12/27 2016)

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Q.13. 商の微分で式がごちゃごちゃになるが良い方法は

A.13.

商の微分は、微分の公式でも最も複雑なものの一つで、 確かにかなりごちゃごちゃになります。 計算間違いをすることが多いとも書いてありましたが、 それを避けるには、以下のようにするのがいいのではないかと思います。

  1. 広いスペースで計算する

    狭いスペースで計算しようとすると、式が途中で折れ曲がったり、 字が小さくなったりして、自然に見にくくなってきます。 答案であれば、裏を使うなどして、 広いスペースを使うことで、 まっすぐな見やすい式を書くことができます。

  2. 暗算をなるべくしない

    計算間違いのうち、暗算が占める割り合いは大きいのではないかと思います。 そして、暗算で計算した場合は、それを見直すことができません。 だから、なるべく暗算ではなく、紙の上で計算することで、 目で確認しながら計算するのが重要です。 紙の上に書けば、ちゃんと見直すこともできます。

    そして、紙の上に計算をちゃんと残すためには、 1. の広いスペースも必要になるでしょう。

  3. 公式が正しく使えているか確認する

    商の微分のように、複雑な公式の場合は公式の覚え間違い、 使い間違い、という間違いもかなりあります。 それを防ぐには、 まず簡単な関数、例えば x5/x2 のような商で 「記憶の公式」が合っていることを確認するといいでしょう。 その結果が (x3)'=3x2 になれば OK です。

  4. 見直しをする

    自分の計算を見直しながら再計算してみることも重要だと思います。 特に、ものを作るために必要な計算など、 どうしても間違えてはいけない計算の場合は、 その結果を複数回見直す必要があるでしょう。

    ちなみに、私は見直す必要がある場合は、 それを別な方法でも計算してみたり、 あるいは問題の設定から 値がだいたい適切なのかを考えてみたりしています。 また、計算と見直しを同時に行う (見直しながら計算する) ことも多いように思います。


(10/31 2017)

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Q.14. 「問」に変な漢字を使う理由がわからない、見にくい

A.14.

私は確かに「問」を急いで書くときは、特に門がまえの部分を 「「問」の略字の画像」 と書きますが、それに関する意見だと思います。 これは単なる略字で、特に理由はありません。 楽だからそう書いているだけです。

急いでいるときには便利ですし、 わかっていれば他の文字と誤解はほとんどないでしょうし、 割と広く使われているものなので、 そういうものだということを知っておくのも悪くはないと思います (それも勉強の一つ)。

なお、この門がまえの略字は、門がまえの行書、 草書の書き方から来ているようです。 さらに、現在の中国 (本土) で使われている漢字 (簡体字) では、 門がまえはほぼこの書き方に近い門がまえが使われています (中国の簡体字の場合は中の棒が左側に点として書かれる)。

これらの理由であまり積極的に直そうとは思わないですが、 余裕があるときは丁寧に書きたいと思います。

ちなみに、異体字、略字などは特に手書きではたくさん使われています。 例えば以下を参照してみてください (もちろんこの略字も載っています)。


(12/13 2017 更新)

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Q.15. 合成関数の微分は高校で習ったやり方で解いてよいか

A.15.

「高校で習ったやり方」は、u を書かずに、例えば y=5(4x-1)-2 の微分を

y' = -2×5(4x-1)-3×(4x-1)' = -10(4x-1)-3×4 = -40(4x-1)-3
という風に書くことのようですが、 これはこれで構いません。

ただし、合成関数の微分を使っていることがわからないような 暗算の多い答だけの答案 (この手の解き方に多い) だと減点する可能性があります。

また、今後面倒臭い、複雑なものが出てくることを考えると、 ちゃんとどういう微分の公式を使っているかを 自分でも確認できる方法で書く方が望ましいでしょう。 意識せずに使っていると、 少し従来と違うパターンの問題で間違える可能性が高くなります。
(10/24 2018 更新)

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作成日: 10/24 2018
竹野茂治@新潟工科大学 (shige@iee.niit.ac.jp)