3 予想の証明

次は、漸化式 (1)、および微分の関係式 (5) を 用いて、前節の予想 (7) を証明する。

(1) に (5) を代入すると

  $\displaystyle
\hat{f}_{k+1}=(2k+1)\hat{f}_k-t\hat{f}_k'
\hspace{1zw}(k\geq 0)$ (8)
となるから、両辺 $t^{2k+2}$ で割ると、
$\displaystyle \frac{\hat{f}_{k+1}}{t^{2k+2}}
= \frac{2k+1}{t^{2k+2}}\,\hat{f}_{...
...- \,\frac{1}{t^{2k+1}}\,\hat{f}_k'
= -\left(\frac{\hat{f}_k}{t^{2k+1}}\right)'
$
となり、よって
  $\displaystyle
\frac{\hat{f}_{k+1}}{t^{2k+3}}
= -\,\frac{1}{t}\,\frac{d}{dt}\left(\frac{\hat{f}_k}{t^{2k+1}}\right)$ (9)
となるので、これを繰り返し用いれば、
\begin{eqnarray*}\frac{\hat{f}_{k}}{t^{2k+1}}
&=&
-\,\frac{1}{t}\,\frac{d}{dt...
... &=&
\left(-\,\frac{1}{t}\,\frac{d}{dt}\right)^k\frac{\sin t}{t}\end{eqnarray*}
が得られ、これで (7) が示されたことになる。 なお、
$\displaystyle \frac{\sin t}{t} = -\,\frac{1}{t}\,\frac{d}{dt}\cos t
$
なので、(7) は、
  $\displaystyle
\hat{f}_k(t)
= t^{2k+1}\left(-\,\frac{1}{t}\,\frac{d}{dt}\righ...
...rac{\sin t}{t}
= t^{2k+1}\left(-\,\frac{1}{t}\,\frac{d}{dt}\right)^{k+1}\cos t$ (10)
と書くこともできる。$\hat{g}_n(t)$ は、(1) より、 $k\geq 1$ に対しては、
  $\displaystyle
\hat{g}_k(t) = t\hat{f}_{k-1}
= t^{2k}\left(-\,\frac{1}{t}\,\frac{d}{dt}\right)^{k}\cos t$ (11)
と書けることになるが、これは (2) より $k=0$ でも 成立するので、(11) は $k\geq 0$ に対して成り立つ。

なお、$\hat{g}_k$ に対しても (8) と同様の漸化式を 導くこともでき、そこから $\hat{f}_k$ と同様にして (11) を 得ることもできる。

結局、(3), (10), (11) より、 $f_k$, $g_k$ を 1 本で表現する以下の式が得られた。

$\displaystyle f_k(t)$ $\textstyle =$ $\displaystyle \frac{t^{2k+1}}{2^k k!}\left(-\,\frac{1}{t}\,\frac{d}{dt}\right)^...
...
\cos t
\ =\
\frac{\sqrt{\pi}}{k!}\left(\frac{t}{2}\right)^{k+1/2}J_{k+1/2}(t)$(12)
$\displaystyle g_k(t)$ $\textstyle =$ $\displaystyle \frac{t^{2k}}{2^k k!}\left(-\,\frac{1}{t}\,\frac{d}{dt}\right)^{k}
\cos t
\ =\
\frac{\sqrt{\pi}}{k!}\left(\frac{t}{2}\right)^{k+1/2}J_{k-1/2}(t)$(13)
竹野茂治@新潟工科大学
2023-07-25