9 最後に

工学部向けのラプラス変換の教科書は色々あるが、 有理関数のラプラス逆変換の計算は、 だいたい本稿で紹介したような方法、 すなわち部分分数分解と、 標準形への変換によって求める方法が紹介されていることが多い。

ただ、ここで紹介した fk , gk の計算については、 どの方法でも多少計算量があるためか、 小さい k の場合の計算のみを紹介し一般の k に対する計算については ちゃんとは書いてないものも多いようであるので、 ここでちゃんと紹介し、いくつかの計算方法を比較してみたのは、 個人的な確認としても、 また講義の補足としても多少は意味があったのではないかと思う。

なお、実はこの教科書 [1] は、 ラプラス変換以外に他の分野の話も含んでいて、 特に複素関数論も扱っているので、 そのため 2 節でも少し触れた複素関数論の留数計算を利用した ラプラス逆変換の計算方法も紹介している。 これについては、また別の機会に考察したいと思う。

竹野茂治@新潟工科大学
2008年3月26日