以下に上げる公式は基本的なものであり、 ラプラス変換に関する教科書 (例えば [1]) であればたいてい載っている。
[f (t)] = [f (t)](s) = e-stf (t)dt (1)
線形性 | [af (t) + bg(t)] = a[f (t)] + b[g(t)] | (2) | |
eat 倍 | [eatf (t)](s) = [f (t)](s - a) | (3) | |
t 倍 | [tf (t)](s) = - [f (t)](s) | (4) | |
微分 | [f'(t)](s) = s[f (t)](s) - f (0) | (5) | |
スケール変換 | [f (at)](s) = [f (t)] (a > 0) | (6) |
[f (at)](s) | = | e-stf (at)dt = e-sx/af (x) = e-(s/a)xf (x)dx | |
= | [f (t)] |
具体的な関数のラプラス変換については、以下のものを証明なしにあげておく。 詳細は、教科書等 (例えば [1]) を参照のこと。
f | 1 | tk | sin t | cos t |
[f] |
ラプラス変換は、次の意味で一対一であることが保証されている。
f (t) , g(t) が t > 0 で連続で、 [f](s) と [g](s) が同じ関数であれば、 f (t) と g(t) も等しい。
これにより、変換後の関数から変換前の関数への対応も考えることができ、
それがラプラス逆変換である:
この F(s) のラプラス逆変換を求めるには、 例えば以下のような方法がある。
-1[F(s)](t) = f (t) [f (t)](s) = F(s)
を計算する
-1[F(s)](t) = estF(s)ds
最初のものは、逆変換を陽に表わす積分公式なのであるが、 その計算は易しくはないためあまり用いられず、 通常の計算、多くの工学向けの教科書では 2 つ目のものがよく用いられるようである。
その方法とは例えば、
のラプラス逆変換を考えると、(2), (3) より
F(s) =
F(s) | = | = + | |
= | + = [cos t](s + 1) + [sin t](s + 1) | ||
= | [e-tcos t](s) + [e-tsin t](s) = [e-tcos t + e-tsin t](s) |
となる、といった具合である。
-1[F(s)] = e-tcos t + e-tsin t
本稿では、分子の次数が分母の次数よりも小さい有理関数
(A, B は s の多項式、deg A は A の次数) の ラプラス逆変換を求めることを目標とする。 多項式、三角関数 (sin , cos )、指数関数の和や積のラプラス変換は 必ずこの形になり、 また逆にこの形の関数 F(s) のラプラス逆変換は、 多項式、三角関数、指数関数の和と積で表される。 本稿ではその事実、および計算方法について解説していく。
F(s) = (deg A(s) < deg B(s))
竹野茂治@新潟工科大学