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4 $2T$-周期解

図 3: $u(mT,x)$: $T=0.8$, $L=1000$,
$m$=300,301,...,330
($A=0.5$, $M=0.6$)
\includegraphics[width=18.5zw]{data/eps/peri2-2D.eps}
図 4: $u(mT,x)$: $T=0.8$, $L=1000$,
$m$=300,301,...,330
($A=0.5$, $M=0.6$)
\includegraphics[width=18.5zw]{data/eps/peri2-3D.eps}

Fig. 3$T=0.8$, $L=1000$ のときの $u(mT,x)$ のグラ フを 300 から 330 までの $m$ に対して重ねたものであり, 2 本のグラフに まとまっているように見える. Fig. 4 はこれを $m$ の順に 並べて 3 次元的に見たものであるが, これをみるとこの 2 種類のグラフが交 互にあらわれていることがわかる. これはこの解がほぼ $2T$-周期解であることを示している.

図 5: $u(mT,x)$: $T=0.8$, $L=1000$,
$m$=300,301,...330, and
$m$=6000,6001,...6030
\includegraphics[width=18.5zw]{data/eps/peri2-forw2-s.eps}
図 6: $u(mT,x)$: $T=0.8$, $L=3000$,
$m$=300,301,...330, and
$m$=6000,6001,...,6030
\includegraphics[width=18.5zw]{data/eps/peri2-forw2-l.eps}

さらに $m$ を進めて, $m=6000$ から $m=6030$ までのグラフを重ねて 書いたのが Fig. 5 のグラフであるが, この交互に あらわれる 2 種類のグラフは $m$ の増加とともに近づいている. これにより $m\rightarrow\infty$ の極限においてはこの 2 種類の グラフが一致して, 結局は $T$-周期解になるのではないか, とも考え られるが, $\Delta x$ を小さくしてみてみると (Fig. 6) この場合は $m$ による変化がほとんどない.

つまり $m$ の増加にともなってグラフが一つになろうとしたのは, 差分幅 $\Delta x$ の大きさに関係する現象であり, 差分近似解の粘性効果に よるものであると予想できる. 粘性項がある場合の方程式

\begin{displaymath}
u_t+\left(\frac{u^2}{2}\right)_x=\mbox{$\varepsilon$}u_{xx}\end{displaymath} (8)

の解は定常解への漸近収束が非常に速く, より外力の影響を受けやすいので, 周期外力に対する解は $T$-周期解へ漸近収束しやすいと考えられるが, それによって一つのグラフに近づいたものと思われる.

さらに, 早い段階で, つまり割りと小さい $m$ で, ひとつ, あるいは 2 つのグラフにまとまること, また, 3 節の Fig. 2 のグラフのまとまりが悪いことなどは $\Delta x$ の大きさに はあまり関係がないので, これらは非粘性の方程式, すなわち差分近似解というより, もとの方程式 (1) の厳密解のなんらかの性質をあらわしているものと思われる.


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Shigeharu TAKENO
2001年 7月 20日