この方程式の数学的な解析の難しさの原因の一つは, 解に不連続性が発生する ことである. 初期値が微分可能性の高い滑らかな関数でも, 有限時刻で解の滑らかさが 失われて, 不連続性が発生する現象が起こる. このような不連続な解は, 流体の方程式の場合の物理現象と対応づけて, 一般に衝撃波と呼ばれている.
この不連続な関数をも解と考えるために, 弱解という通常の解よりも広い概念 が用いられるが, 一般には初期値に対して弱解は一意に決定しないので, 一意性を与えるために, 流体の場合のエントロピー増大則に対応する エントロピー条件という数学的な条件を課す必要がある. この条件を満たす弱解をエントロピー解と呼ぶ.
単独の保存則方程式
例えば, 外力項 が時刻
に関して周期的である場合に
周期的な解が存在するかという問題について, 最近次のような結果が
得られた[3].
より複雑な方程式系である理想気体の方程式に対して, 相京[5],
水澤[6] は周期が ではなく
,
のような倍周期
であるような解の存在を数値実験によって示している.
このような現象は, 周期倍分岐と呼ばれる, 周期解の分岐現象として知られ
ている.
数学的には常微分方程式, そして最近では半線形の波動方程式に対する研究が
行われているようであるが[7,8],
(1) のような準線形の波動方程式に対する論文は
まだ見当たらない.
本報告では , すなわち非粘性バーガース方程式の場合の
周期解, および周期倍分岐についての数値計算によるいくつかの結果を述べる.