波面追跡法は、相互作用評価も Glimm 差分ほど 詳しいものは必要とはせず、 解の適切性を保証する Bressan 理論にもつながる話であるし、 また補完測度法は、Glimm の差分が、特別な場合を除いては 全変動が十分小さい初期値にしか適用できないのに対し、 ある種の方程式に対してはより一般的な初期値に対しても 弱解の存在を示すことができる、というメリットがある。
しかし、Glimm 差分の解の性質との密接な関連や、 初期値に対する制限を除けば適用できる方程式の範囲が広いこと (補完測度法は適用できる方程式が制限される)、 そして Glimm 差分に関する色々な拡張、改良が行われてきたことからすれば、 現在でも保存則方程式の研究者にとっては必須の道具であり、 重要な方法であることには変わりがない。
本稿が、それを学ぶための一助となれば幸いである。
竹野茂治@新潟工科大学