5.5.0.2 [A-2] の場合

この場合は、
  $\displaystyle
\Delta Q_k(\tau)
= \sum_{\ell\neq j}\vert\bar{\sigma}_\ell\vert...
...\sigma}_j\vert\bar{S}_j - \vert\sigma'_j\vert S'_j - \vert\sigma''_j\vert S''_j$ (64)
となるが、 3.6 節の 1. の $\sigma'_j<0$, $\sigma''_j<0$, $\bar{\sigma}_j<0$ の場合は、 $\bar{S}_\ell$, $S'_j$, $S''_j$ は世代が $k$ 以上の項のみなので、 $\bar{S}_j=S'_j=S''_j$ となり、よって

$\displaystyle I^k_j=(\vert\bar{\sigma}_j\vert-\vert\sigma'_j\vert-\vert\sigma''_j\vert)S'_j
$

より
  $\displaystyle
I^k_j\leq\vert\bar{\sigma}_j-\sigma'_j-\sigma''_j\vert V_k(\tau-)$ (65)
と押さえられることになる。よって、(64) と Lemma 7.2 (ii) より、

$\displaystyle \Delta Q_k(\tau)
\leq\left(\sum_{\ell\neq j}\vert\bar{\sigma}_\el...
...gma''_j\vert\right)V_k(\tau-)
\leq M_1\vert\sigma'_j\sigma''_j\vert V_k(\tau-)
$

となり、(63) が得られる。

3. の $\sigma'_j<0$, $\sigma''_j>0$, $\bar{\sigma}_j<0$ の場合は、

$\displaystyle \bar{S}_j=S'_j\geq S''_j
$

で、世代は $k$ 以上の項のみなので、

\begin{eqnarray*}I^k_j
&=&
(\vert\bar{\sigma}_j\vert-\vert\sigma'_j\vert)S'_j-...
... \leq\
\vert\bar{\sigma}_j-\sigma'_j-\sigma''_j\vert V_k(\tau-)\end{eqnarray*}

となり、(65) が得られる。

5. も 3. の入れかえなので同様。

4. の $\sigma'_j<0$, $\sigma''_j>0$, $\bar{\sigma}_j\geq 0$ の場合、 $\bar{\sigma}_j=0$ ならば $I^k_j\leq 0$ より (65) が得られる。 $\bar{\sigma}_j>0$ の場合は、

$\displaystyle \bar{S}_j=S''_j\leq S'_j
$

で、世代は $k$ 以上の項のみなので、

$\displaystyle I^k_j
=
(\vert\bar{\sigma}_j\vert-\vert\sigma''_j\vert)S''_j-\ver...
...a'_j\vert)S''_j
\leq
\vert\bar{\sigma}_j-\sigma'_j-\sigma''_j\vert V_k(\tau-)
$

となり、(65) が得られる。

6. も 4. と同様。

よっていずれも (65) が得られ、 (63) が成り立つことになる。

竹野茂治@新潟工科大学
2020-06-03