5.4.0.5 [S-3] の場合

この場合、$\tau$ の前後で世代は変わらないので、 $\Delta V_k(\tau)$

$\displaystyle \Delta V_k(\tau) = \varepsilon(\vert\sigma_{np}\vert-\vert\sigma'_{np}\vert)
$

となり、よって Lemma 7.2 (iv) より (53) の 1 本目が得られる。

$\Delta Q_{k-1}(\tau)$ は、

$\displaystyle \Delta Q_{k-1}(\tau)
= -\vert\sigma'_{np}\sigma''_j\vert+(\vert\sigma_{np}\vert-\vert\sigma'_{np}\vert)S_{np}
$

で、 $S_{np}\leq Sw(\sigma_{np}) = Sw(\sigma'_{np})-\vert\sigma''_j\vert$ であり、 $S_{np}$ には $\sigma_{np}$, $\sigma''_j$ は含まれず、 よって $V(\tau-)$ に含まれるので、Lemma 7.2 (iv) より、

$\displaystyle \Delta Q_{k-1}(\tau)
\leq -\vert\sigma'_{np}\sigma''_j\vert+M_1\...
...-\vert\sigma'_{np}\sigma''_j\vert+M_1\vert\sigma'_{np}\sigma''_j\vert V(\tau-)
$

となり (53) の 2 本目が得られる。

これで、[A-1]$\sim$[S-3] すべての場合で (53) が 成り立つことになり、よって (11), (12), (23) により、

$\displaystyle \Delta V_k(\tau)+C_0\Delta Q_{k-1}(\tau)
\leq
\vert\sigma'_i\sigma''_j\vert(M_1-C_0+C_0M_1V(\tau-))
\leq 0
$

が得られる。

竹野茂治@新潟工科大学
2020-06-03