5.4.0.1 [A-1] の場合

この場合、$i$-,$j$-特性族に出る front の世代はそれぞれ $k'$, $k''$ のままで、 (52) よりそれ以外の特性族に出る front の 世代は $k$ 以上となる。 よって $\Delta V_k(\tau)$ は、

$\displaystyle \Delta V_k(\tau)
=\sum_{\ell\neq i,j}\vert\bar{\sigma}_\ell\vert
...
...\sigma'_i\vert)
+ \varepsilon'(\vert\bar{\sigma}_j\vert-\vert\sigma''_j\vert)
$

のいずれかの形となる ($\varepsilon$, $\varepsilon'$ は 0 または 1)。 よっていずれにしても
  $\displaystyle
\Delta V_k(\tau)
\leq
\sum_{\ell\neq i,j}\vert\bar{\sigma}_\ell\vert
+\vert\bar{\sigma}_i-\sigma'_i\vert+\vert\bar{\sigma}_j-\sigma''_j\vert$ (56)
で評価され、 Lemma 7.2 (i) より (53) の 1 本目が得られる。

同様に $\Delta Q_{k-1}(\tau)$ は、

$\displaystyle {\Delta Q_{k-1}(\tau)}$
  $\textstyle \leq$ $\displaystyle \sum_{\ell\neq i,j}\vert\bar{\sigma}_\ell\vert Sw(\bar{\sigma}_\e...
...ma}_j-\sigma''_j\vert(S''_j-\vert\sigma'_i\vert)
-\vert\sigma'_i\sigma''_j\vert$ (57)

となる。ここで、 $S'_i$ $Q_{k-1}(\tau-)$ に含まれる $\vert\sigma'_i\vert$ の係数、 $S''_j$ $Q_{k-1}(\tau-)$ に含まれる $\vert\sigma''_j\vert$ の係数で、 もし $k'\geq k-1$ なら $S'_i=Sw(\sigma'_i)$ となるが、 $k'<k-1$ なら $S'_i\leq Sw(\sigma'_i)$ であり、 $S'_i$$Sw(\sigma'_i)$ のうち $(k-1)$ 以上の世代の項のみの和となる。 $S''_j$ も同様。

いずれにせよ、 $Sw(\bar{\sigma}_\ell)$, $S'_i-\vert\sigma''_j\vert$, $S''_j-\vert\sigma'_i\vert$$\sigma'_i$, $\sigma''_j$, $\bar{\sigma}_\ell$ を 含まず、よって $V(\tau-)$ に含まれるので、

$\displaystyle \Delta Q_{k-1}(\tau)
\leq
-\vert\sigma'_i\sigma''_j\vert
+\left(...
...{\sigma}_i-\sigma'_i\vert
+\vert\bar{\sigma}_j-\sigma''_j\vert\right)V(\tau-)
$

となり、Lemma 7.2 (i) より (53) の 2 本目が得られる。

竹野茂治@新潟工科大学
2020-06-03