6 B(1)n の 有界性と極限

次は $B^{(1)}_n$ の有界性と極限について考察する。 本節でも、5 節同様最後の部分積分の手前の式 (57) を利用する。 まず、(9) より
$\displaystyle B^{(1)}_n
= \eta^{(1)}\sigma_n-\eta_n\sigma^{(1)}
= \eta^{(1)}(\sigma_n+\theta(w-a)\eta_n)-\theta\eta^{(0)}\eta_n
$
となるので、
  $\displaystyle
B^{(1)}_n
=\frac{\theta(w-z)^\tau}{\mathop{\mathit{\Gamma}}(-\tau)}
(\eta^{(1)}I^{(0)}_n-\eta^{(0)}I^{(1)}_n)$ (75)
とすると、$I^{(1)}_n$
  $\displaystyle
I^{(1)}_n
= \frac{\mathop{\mathit{\Gamma}}(-\tau)}{(w-z)^\tau}\,\eta_n
= \int_0^\infty(-\Psi_n'(x))F_2(x)dx$ (76)
となる。

(75) の前半部分については、 5 節の議論が利用できるが、 (9) より $\eta^{(1)}$ には特異性があり得るので、 $(a-z)^p$ の借用は $p=\tau/2$ 程度に留め、 残りが $a$ に関して $L^1$ であるようにする必要がある。

一方 (75) の後半部分の $I^{(1)}_n$ の方であるが、 こちらは $I^{(0)}_n$$F_4$$(x-\beta)F_2$ に比べて一つ 特異性の次数が高いので、$\eta^{(0)}$ から $(a-z)^{1+p}$ 程度を 借用する必要がある。実は部分積分の境界値のため、 別な借用が必要な項も出てくる。いずれも残りの部分には有界性はなく、 $a$ に関して $L^1$ しか確保されない。 まずは $(a-z)$ の借用から。

\begin{eqnarray*}\lefteqn{(a-z)I^{(1)}_n
\ =\
(w-z)\int_0^{\infty}(-\Psi_n'(x...
...(-\Psi_n')(x-\beta)F_2(x)dx
\\ &=&
I^{(1)}_{n,1}+I^{(1)}_{n,2}\end{eqnarray*}
と分けると、命題 1 より、
$\displaystyle (1-x)F_2(x)
= (1-x)H_{1,1,[\tau]+1}(x)
= H_{1,2,[\tau]+1}(x) - H_{1,1,[\tau]}(x)
$
となり、 $F_5(x)=H_{1,2,[\tau]+1}(x)$ とすると この最後の式は $F_5(x)-F_4(x)$ となる。 命題 1 より $F_5(x)$ は連続で、
  $\displaystyle
F_5'(x) =-(\tau+1)F_6(x)
\hspace{1zw}F_5(\infty)=0,\hspace{0.5zw}F_5(+0)=\mathop{\mathit{B}}(\tau+1,-\tau)=B_\tau$ (77)
となる。ここで、$F_6(x)$
  $\displaystyle
F_6(x) = H_{1,2,[\tau]+2}(x) $ (78)
とした。これらにより $I^{(1)}_{n,1}$ を部分積分すると、 (61), (77) より
\begin{eqnarray*}I^{(1)}_{n,1}
&=&
(w-z)\int_0^{\infty}(-\Psi_n'(x))(F_5(x)-F_...
...w-z)\int_0^{\infty}\Psi_n(x))
\{-(\tau+1)(F_6(x)+\tau F_2(x)\}dx\end{eqnarray*}
となる。 この最後の式を $I^{(1)}_{n,1,1} + I^{(1)}_{n,1,2}$ とする。

部分積分の境界値である $I^{(1)}_{n,1,1}=(w-z)\Psi_n(0)B_\tau
=N_n\psi_0(W_n)B_\tau$ は、 さらに $\eta^{(0)}$ から $(w-a)$ を借りれば、 $\psi_{0,1}(s)=s\psi_0(s)$ ( $\in\mathcal{S}$) とすると

$\displaystyle (w-a)I^{(1)}_{n,1,1}
=(w-z)W_n\psi_0(W_n)B_\tau
=(w-z)\psi_1(W_n)B_\tau
$
と書けるので一様有界であることがわかる。 さらに、$z<a<w$ では $W_n\rightarrow\infty$ なので、 $n\rightarrow\infty$ のときに これは 0 に収束する。

また、 $I^{(1)}_{n,1,2}$ の方は、$F_6(x)$, $F_2(x)$$x=1$$\log$ オーダーだから、$I^{(0)}_n$ の場合と同様に、 $\eta^{(0)}$ からさらに $(a-z)^{\tau/2}$ を借りれば $(a-z)^{\tau/2}I^{(1)}_{n,1,2}$ が一様有界となり、

  $\displaystyle
(a-z)^{\tau/2}I^{(1)}_{n,1,2}
\rightarrow
(a-z)^{\tau/2}\{-(\...
...)F_6(\beta)+\tau F_2(\beta)\}
\int_{\mbox{\scriptsize\boldmath$R$}}\psi_0(t)dt$ (79)
となる。

一方 $I^{(1)}_{n,2}$5 節の (64) より $I^{(1)}_{n,2} = - I^{(0)}_{n,2}$ なので、 $(a-z)^{\tau/2}$ を借りた $(a-z)^{\tau/2}I^{(1)}_{n,2}$ が 一様有界となり、

$\displaystyle {(a-z)^{\tau/2}I^{(1)}_{n,2}
\ =\
(a-z)^{\tau/2}\int_{-\infty}^{W_n}\tilde{\psi}_0(t)
F_2\left(\beta-\frac{t}{N_n}\right)dt}$
  $\textstyle \rightarrow$ $\displaystyle (a-z)^{\tau/2}F_2(\beta)\int_{\mbox{\scriptsize\boldmath$R$}}\til...
...
\ =\
(a-z)^{\tau/2}F_2(\beta)\int_{\mbox{\scriptsize\boldmath$R$}}\psi_0(t)dt$(80)
となる。

以上をまとめると、$I^{(1)}_n$ は、

\begin{eqnarray*}I^{(1)}_n
&=&
(w-z)I^{(1)}_{n,3} + I^{(1)}_{n,4}
\\ &&
(I^...
...hspace{0.5zw}I^{(1)}_{n,4}=(I^{(1)}_{n,1,2}+I^{(1)}_{n,2})/(a-z))\end{eqnarray*}
に分けられ、 $(w-a)(a-z)I^{(1)}_{n,3}$ $(=\psi_1(W_n)B_\tau)$ $(a-z)^{1+\tau/2}I^{(1)}_{n,4}$ が一様有界で、
\begin{eqnarray*}(w-a)(a-z)I^{(1)}_{n,3}
&\rightarrow&
0,\\
(a-z)^{1+\tau/2}...
...eta)-F_6(\beta)\}\int_{\mbox{\scriptsize\boldmath$R$}}\psi_0(t)dt\end{eqnarray*}
となる。なお、$F_2-F_6$ は、命題 1 により、
\begin{eqnarray*}F_2(x)-F_6(x)
&=&
H_{1,1,[\tau]+1}(x) - H_{1,2,[\tau]+2}(x)
\ =\
(x-1)H_{1,1,[\tau]+2}(x)
\\ &=&
(x-1)F_0(x)\end{eqnarray*}
となるが、(31), (32) より
$\displaystyle (x-1)F_0(x) = (x-1)\bar{F}_0(x)+\xi(x)\left(\frac{1}{\tau+1}
+\tau(x-1)\log\vert x-1\vert\right)
$
なので $(x-1)F_0(x)$ は連続かつ可積分な関数となる。


命題 5

$B^{(1)}_n$ は、

\begin{eqnarray*}B^{(1)}_n
&=&
\frac{\theta(w-z)^\tau}{\mathop{\mathit{\Gamma}...
...a-z)^{1+\tau/2}}
\times(a-z)^{1+\tau/2}I^{(1)}_{n,4}
\right\}
\end{eqnarray*}
のように、$a$ に関して $L^1$ の項と一様有界の項の積に それぞれ分けることができ、その極限は
\begin{eqnarray*}B^{(1)}_n
&\rightarrow&
J_1(w,z,a)\int_{\mbox{\scriptsize\bol...
..._2(\beta)
+\frac{\eta^{(0)}}{a-z}
(1-\beta)F_0(\beta)\right\}
\end{eqnarray*}
となる。


竹野茂治@新潟工科大学
2023-04-03