5.1 はじめに

3 節、4 節で見てきたように、 保存則方程式
\begin{displaymath}
U_t+F(U)_x=0\end{displaymath} (5.109)

は、膨張波、衝撃波、接触不連続といった単純な形の波の解を持つ。 この節では、この方程式 (5.1) の いわゆるリーマン問題、すなわち初期値が
\begin{displaymath}
U(0,x)=\left\{\begin{array}{ll}
U_l & (x<0)\\
U_r & (x>0)
\end{array}\right.\end{displaymath} (5.110)

であるような解を考えることにする。

ところで、よく、 なぜこのような初期値に対する問題を考えるのか、 と聞かれることがある。 それに対する理由のようなものを以下に紹介する。

以下に、このリーマン問題の解を構成する、 これまで考察した単純波 (膨張波、衝撃波、接触不連続) の性質を 以下にまとめてみる。 なお、それらの波の中心は原点 $(t,x)=(0,0)$ であるとし、 波の左右が定数ベクトル $V_l$, $V_r$ であるとする。

竹野茂治@新潟工科大学
2018-08-01