1 はじめに

リーマン問題とは、双曲型保存則方程式に典型的な問題で、 ある単純な初期値に対する初期値問題である。 しかし、これはこの方程式の解の特徴を見るのに必要な話題であるし、 一般の初期値に対する初期値問題の解を構成する際にも使われる 重要な問題で、 この方程式に関する解説書、入門書 (例えば [2]) などには、必ず最初の方にこの問題が取り上げられるべき項目である。

単独の保存則方程式に対するリーマン問題や衝撃波の話ならば、 偏微分方程式の本でも追加の話題として取り上げられることがあるが、 連立の保存則方程式系に対するリーマン問題の話、特に日本語による説明は、 かなり古い [4] を除いてはほとんどないし、 この記事にも一般の $N\times N$ の系に対するリーマン問題については 書かれていない。

よって本稿は、一般の $N\times N$ の系に対するリーマン問題の 解説を目標とする。

なお、日本語の用語に関しては、[6] になるべく従うこととする。

竹野茂治@新潟工科大学
2018-08-01