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定理 5

を開集合,

を有界集合とし、

が可測関数列で

(a.e.

) であるならば
ある部分列

,
および

上のある確率測度 (全測度 1 の非負 Borel 測度) の族

が存在し、次を満たす。
詳細は [13,21] 参照のこと。
この確率測度の族
を
に対する Young 測度
という。以後、Young 測度による積分
(
の添字
の関数となる) を
や
のように書くこととする。
なお、Young 測度が全測度 1 である必然性は
定数 とすれば
容易にわかるだろう。
例 6
が強い意味での収束であるならば (例えば a.e. 収束)
であり、一方
なので
となり、
よって
となる。
なお、逆に
であったとすると、
となり、
は有界なので、任意の有界集合
に対して
となり、よって (必要なら部分列を取れば)
a.e. となる。
例 7
例 4 で取り上げた
に対する Young 測度を
決定する (cf.[13])。
とし
を連続関数とする。
と変形すると
の中身は
であり、
なので積分の中カッコの部分は
のときに
に収束しかつ一様有界、よって Lebesgue の収束定理により
となる。これは
を意味し、この場合極限は
によらない定数となる。ここで
なので、結局
に対する Young 測度は
すなわち
となる。
図 2:
(
の Young 測度の密度関数)
|
この場合 Young 測度は絶対連続で、その密度関数は
での値が
もっとも小さく、
では無限に発散する。
は確率測度であるから、
を
の
重み付きの平均と見ると、これは
のところがもっとも重み付けが
強く、
のところがもっとも重み付けが軽いことを意味する。
このことは例えば次のように考えるといいだろう:
のように振動して収束しない関数の場合は、各
に対して
その極限は点になるのではなく、もっと広がったぼんやりしたものになって
いて、連続関数
をかぶせたものは平均収束としては極限を持つが
それは
の平均のようなもので、
の値が「たくさん」現われる
の付近が重みが強く、
の値が「少なく」現われる
の付近の重みが軽くなる。
なお、
の付近に
の値が「たくさん」現われる、
というのは、
例えば
が自然数でなく時間としての実数変数であると考えて
時間とともに
の値の変化を考えてみると、
グラフの傾きの小さい
のところはゆっくり動き、
傾きの大きい
のところは速く通過することが想像できるだろう。
結局、(7) のためには、
を決定し、
であることを示す
ということが目標であることになる。
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Shigeharu TAKENO
2001年 12月 17日