3 計算の方針
この節では、 の計算の方針について考える。
は部分積分により、
の場合に帰着する方向で計算することができる。
部分積分を繰り返すと一般に、
(
4)
となるが、
なので、(4) より、
となるが、
であり、
は
でのオーダーは
なので、
となるから、 であれば、
(5) の和の部分は
と
の両方で 0 になる。
よって、 に対して
(
6)
が成り立つことになる。
では の収束性は保証されていたので、
その場合は (6) の右辺も収束することになる。
なお、(6) 自体は でも成立するが、
で が奇数の場合の有限性はまだ保証はされない。
この (6) の右辺であるが、
被積分関数の分子は , などで表すことができ、
それによってこの積分をディリクレ積分などに帰着させることができる。
おおまかにはこのような方針で が計算できることになる。
の導関数を , などに変形するのは、
微分を計算したあとで変形する方法と、
先に を変形してから微分する方法があるが、
もちろん後者の方が易しい。
例えば、 の場合、先に微分すると、
となるが、3 倍角の公式
より、
であり、 は、積・和の公式を用いれば、
が得られ、よって
となる。
一方、 を先に (7) の形にしておけば、
を得るのは易しく、(7) の変形自体も
複素数を利用すれば上よりも易しく、そして容易に一般化できる。
そして、 に対し、
(
9)
なので、 は (6), (8), (9) より
と得られる。
竹野茂治@新潟工科大学
2020-12-17