なお、本稿では、(5) を一つずらして、 さらに を一般の とした
という方程式をこの先考えることにする。すべての に対して (6) のような式を 満たす未知関数 を求める問題は、一般に「差分方程式」と呼ばれる。 その差分方程式の解の性質を少し紹介するために、これを少し一般化した、
という方程式を考えることにする。なお、この左辺は非斉次型の (7) の一般解 は、 (7) の解の一つ (「特殊解」と呼ばれる) と、 周期 1 の任意の周期関数 を用いて
と書ける。これをまず示す。最初に、(8) の右辺で与えられる関数が、 確かに方程式 (7) を満たすことを示す。 は (7) の特殊解なので、すべての に対し
を満たし、また は周期 1 の周期関数なので 、よって を満たす。(9), (10) より
上の事実により、(7) の一般解を求めるには、
その特殊解 を求めればよいことになる。
なお、定数 に対して
以後、0 以上の整数 に対して、 に対する 方程式 (7) の、 (11) を満たす特殊解を と書くことにする。 実は、このような が 次多項式として ただひとつ決まるのであるが、本節でそれを示す。
まず、そのような多項式があれば、それが多項式としては ただひとつの解であることはすぐにわかる。 それは、もし 2 つあったとすれば、 その差 (それも多項式) は上で見たように周期 1 の周期関数でなければならないが、 多項式の中で周期関数となるのは定数しかないので、その差は定数となり、 (11) の条件からその定数は 0 でなければならないからである。
よってあとはこの が存在することを示せばよいが、 本節では の漸化式を作ることで、それを構成的に示す。
まず であることは容易にわかる。 今、そのような多項式 が 存在したとする。 方程式
の両辺を で微分すると、ただし、(15) はあくまでそのような多項式 が 存在するとして導いたもので、 逆にそこから得られる が すべての に対して (12) を満たすことはまだ保証されていない。 よって次は、(15) で得られる が、 確かに (12) と を満たすことを示す。
そこにも帰納的を用いる。 として、 に対して、 までは (12) と で 0 になることは 満たしていると仮定する。
まず、
は、
(15) に , を代入すれば容易に得られる。
また、変数変換と帰納法の仮定により、
また、 は 1 次式で、よって (15) に より は多項式で、その次数は より 一つ上であることも帰納的に保証され、 よって が 次式であることがわかる。
なお、(12) を から まで和を取れば、
竹野茂治@新潟工科大学