2 通常の代数的手法

まずは、(2) の公式を求める、 通常の代数的な手法を紹介する。 例えば、$S_1(n)$ は、
  $\displaystyle
(k+1)^2 - k^2 = 2k+1$ (3)
の式を $k=1$ から $k=n$ まで加えると、

$\displaystyle \sum_{k=1}^n\{(k+1)^2-k^2\}
= \sum_{k=1}^n (2k+1)
= 2S_1(n)+S_0(n)
$

となるが、この左辺は

\begin{eqnarray*}\lefteqn{\sum_{k=1}^n\{(k+1)^2-k^2\} }
\\ &=&
\{2^2+3^2+4^2+\cdots+(n+1)^2\}-(1^2+2^2+3^2+\cdots+n^2)
\\ &=&
(n+1)^2-1\end{eqnarray*}

となり、また $S_0(n)=n$ なので、(3) は

$\displaystyle (n+1)^2 - 1 = 2S_1(n) + n
$

となり、よって

$\displaystyle S_1(n) = \frac{1}{2}\{(n+1)^2-1-n\} = \frac{1}{2}(n^2+n) = \frac{n}{2}(n+1)
$

が得られる。同様に $S_2(n)$ は、
  $\displaystyle
(k+1)^3 - k^3 = 3k^2+3k+1$ (4)
の和を考えることで、

$\displaystyle (n+1)^3-1 = 3S_2(n)+3S_1(n)+S_0(n)
$

が得られ、よって、

\begin{eqnarray*}S_2(n)
&=&
\frac{1}{3}\{(n+1)^3-1-3S_1(n)-S_0(n)\}
\\ &=&
...
...
\\ &=&
\frac{1}{6}(2n^3+3n^2+n)
\ =\
\frac{n}{6}(n+1)(2n+1)\end{eqnarray*}

となる。

このようにして、帰納的に $S_j(n)$ $(0\leq j\leq p-1)$ の式 から $S_p(n)$ を得るのが標準的な手法であり、 原理的に同じようにすればできる、という方法が示されて通常は終わりで、 高校や大学の教科書でこの先、すなわち $S_p(n)$ の漸化式を導いたり、 「ファウルハーバーの定理」を紹介、証明したりすることはまずない。

竹野茂治@新潟工科大学
2020-03-16