1 はじめに

高校の数列の授業では、自然数の巾の和
  $\displaystyle
S_p(n) = \sum_{k=1}^n k^p\hspace{1zw}(\mbox{$p$, $n$\ は自然数})$ (1)
に対して、いくつかの $p$ についてその公式を紹介している。
  $\displaystyle
\begin{array}{l}
\displaystyle S_0(n)=n,
\hspace{1zw}S_1(n) =...
...{n}{6}(n+1)(2n+1),
\\
\displaystyle S_3(n)=\frac{n^2}{4}(n+1)^2
\end{array}$ (2)
しかし大学で、この続きの公式を紹介することはまずないし、 実際にそれを用いることも多分ほとんどない。

一方で、一般の自然数 $p$ に対する (1) を $n$ の式で 表す公式も知られていて、 「ファウルハーバーの公式」などと呼ばれることも あるようである ([1]) が、 数学辞典 ([2]) では同様の式が「ベルヌーイ多項式」で 表されている。

さらに「ファウルハーバーの定理」というもので この $S_p(n)$ に関する性質も多少知られているようであるが、 Web 上にあるその説明 ([3]$\sim$[8] 等) は、 代数的な計算の紹介やベルヌーイ数によるものが多いようだし、 高校の数学でも (2) は $(k+1)^r-k^r$ の展開式を 用いて代数的に導く計算で示されていると思う。

それに対し、本稿では「解析的」、すなわち微積分を用いて それを計算する方法を示し、 その「ファウルハーバーの定理」の性質も考察してみる。

竹野茂治@新潟工科大学
2020-03-16