2 定数係数線形同次漸化式
定数係数線形同次 項漸化式とは、以下のような漸化式を言う。
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(3) |
ここで、 () は定数で、 とする。
また、 であれば、一つずらすことで 項以下の漸化式にできるので、
ここでは
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(4) |
であると仮定する。
まず、数列の線形性について述べておく。今、数列
を
のように書くことにする。このとき、
2 つの数列 , の和を で定義でき、
また数列 のスカラー倍 ( 倍) を
で
定義できる。これにより、数列 を抽象的なベクトルと見ることができ、
数列の集まりをベクトル空間 (線形空間) と考えることができる。
漸化式 (3) は、
を与えれば
がこの漸化式によって順に求められていくから、
(3) を満たす数列には 個の自由度があるといえる。
これを線形代数の言葉で表現すれば次の命題 1 のようになる。
なお、以下では (3) を満たす数列のことを (3) の 解 と呼ぶことにする。
命題 1
-
(3) の解は、線形 (部分) 空間を作る
(これを (3) の 解空間 と呼ぶ)。
すなわち、(3) の解である 2 つの数列の和、
および (3) の解のスカラー倍も (3) の解となる。
- (3) の解空間の次元は丁度 である。
すなわち、 個の一次独立な数列 (
)
が存在して、解空間の任意の数列 は、
ある定数 (
) を用いて
と書ける。
証明
1.
, が (3) の解であれば、
が成り立つから、任意のスカラー に対して、
となるので、,
も (3) の解となる。よって、それらは線形空間を作る。
2.
を与えれば (3) の解は
一意に決まるので、
に対し、
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(5) |
(
は上から 番目の成分が 1 で、
他の成分が全部 0 の 次元ベクトル) によって決まる (3) の解を と書くことにすると、
これにより 個の解が作られることになる。
この 個の解は一次独立である。
実際、定数 (
) に対し、
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(6) |
がすべての について成り立つとすると、
(5) により に対して
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(7) |
が成り立つから、(6) で とすれば となる。
結局 , , ...はすべて 0 となるので、
よって (
) が一次独立であることがわかる。
また、(3) の任意の解 に対しても、
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(8) |
とすると、 は の一次結合であるから 1. により (3) の解の一つであり、
に対しては、
(7) より になっているので、
であることがわかる。
すなわち、任意の解 は (8) のように
の一次結合として表されることになる。
フィボナッチ数列 (1) で言えば、
(2) は , の解であるから、
これは命題 1 の 2. の に当たる。もう一つの解である は、
を満たすものとなるが、これは となるので、
を一つずらしたものであることがわかる。すなわち、
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(9) |
となる。
竹野茂治@新潟工科大学
2009年8月5日