4 漸化式

3 節最後の 1.$\sim$ 4. のうち、 多分 3. の漸化式ができれば、 あとのものは帰納法で示されるので、 まずは漸化式を求める。 それには、(3) に (1) を 適用すればよい。 $n\geq 2$ に対して、 (1) に (3) を代入すると、
$\displaystyle \frac{\mbox{\boldmath {$\alpha$}}_n\mathop{・}\mbox{\boldmath {$v$...
...ox{\boldmath {$\alpha$}}_{n-2}\mathop{・}\mbox{\boldmath {$v$}}_{n-2}}{x^{n-2}}
$
となるが、
\begin{eqnarray*}\mbox{\boldmath {$v$}}_{n-1}
&=&
\left(\sin\left(x-\,\frac{n\...
...-\,\frac{n\pi}{2}\right)\right)
\ =\
-\mbox{\boldmath {$v$}}_n\end{eqnarray*}
となるので、
$\displaystyle \mbox{\boldmath {$\alpha$}}_n\mathop{・}\mbox{\boldmath {$v$}}_n
=...
...ath {$v$}}_{n}
+x^2(\phi_{n-2},\psi_{n-2})\mathop{・}\mbox{\boldmath {$v$}}_{n}
$
より、$\phi_n$, $\psi_n$ に対する漸化式は、
  $\displaystyle
\left\{\begin{array}{ll}
\phi_n(x) &= -(2n-1)\psi_{n-1}(x) + x^...
...2n-1)\phi_{n-1}(x) + x^2\psi_{n-2}(x)
\end{array}\right. \hspace{1zw}(n\geq 2)$ (6)
となる。この漸化式と (4) により、 すべての $\phi_n$, $\psi_n$ が確定する。

次は、この漸化式を用いて、3 節最後の 1., 2., 4. を 示していこう。

まずは 1. の次数であるが、$n=0,1,2$ では成立している。 (6) から、$\phi_n$ の方 (1 本目) は、 帰納法で考えれば右辺は $(n-2)$ 次式と $n-2+2=n$ 次式の和になるので、 確実に $n$ 次式となるが、問題は $\psi_n$ の方 (2 本目) で、 これは右辺が $(n-1)$ 式と $(n-1)$ 次式の和なので、 最高次の係数が 0 でないことをちゃんと示す必要がある。

よって、1. をさらに詳しく、

$\phi_n$ は、$x^n$ の係数が $a_n$ である高々 $n$ 次式、 $\psi_n$ は、$x^{n-1}$ の係数が $b_n$ である高々 $(n-1)$ 次式 ($n\geq 1$)
として、この係数 $a_n$, $b_n$ が 0 にならないことを示す。

漸化式 (6) より、$a_n$, $b_n$ については、 以下の漸化式が成り立つことがわかる。

  $\displaystyle
a_n = a_{n-2},
\hspace{1zw}b_n = (2n-1)a_{n-1}+b_{n-2}\hspace{1zw}(n\geq 2)$ (7)
ただし、便宜的に $b_0$$b_0=0$ とするが、 こうすれば、(7) はすべての $n\geq 2$ に対して 成立する。

(4) により、$a_0=1$, $a_1=1$ なので、 $a_n=1$ がすべての $n\geq 0$ に対して成り立つ。 $b_n$ は、$n$ が偶数、奇数で分けると $b_{0}=0$, $b_{1}=1$ より、

\begin{eqnarray*}b_{2n}
&=&
(4n-1) + b_{2n-2}
\ =\
(4n-1) + (4n-5) + b_{2n...
...-7) + \cdots + 5 + b_{1}
\ =\
\frac{n(4n-3+1)}{2}
\ =\ n(2n-1)\end{eqnarray*}
となり、結局、両方をまとめて
$\displaystyle b_n = \frac{n(n+1)}{2}
$
と書ける。これにより、$n\geq 1$ では $b_n\neq 0$ が保証され、 よってこれで 1. が示されたことになる。

奇関数、偶関数の関係 2. は、(6) と 帰納法で容易に示すことができるので、説明は省略する。

最後に、4. の、ノイマン関数に対する (5) を示す。

$n=0,1,2$ に対しては、(5) は 成り立っているから、あとは帰納法を用いる。 すなわち、(5) が $n=k-1$ まで 成り立っているとする ($k\geq 2$) と、$n=k$ に対しては、 漸化式 (1) より、

\begin{eqnarray*}\sqrt{\frac{\pi x}{2}}\,N_{k+1/2}(x)
&=&
\sqrt{\frac{\pi x}{2...
...{$\alpha$}}_{k-2}\mathop{・}\mbox{\boldmath {$v$}}_{k-1}}{x^{k-2}}\end{eqnarray*}
であり、前と同様にして
\begin{eqnarray*}\mbox{\boldmath {$v$}}_{k}
&=&
\left(\cos\left(x-\,\frac{k+1}...
...ac{k+1}{2}\pi\right)\right)
\ =\
-\mbox{\boldmath {$v$}}_{k+1}\end{eqnarray*}
なので、(6) より、
\begin{eqnarray*}\sqrt{\frac{\pi x}{2}}\,N_{k+1/2}(x)
&=&
\frac{2k-1}{x}\,\fra...
...\frac{(\phi_k,\psi_k)\mathop{・}\mbox{\boldmath {$v$}}_{k+1}}{x^k}\end{eqnarray*}
となることが $k\geq 2$ に対して言えるので、 帰納法により (5) がすべての $k\geq 0$ に 対して示されたことになる。

竹野茂治@新潟工科大学
2022-01-11