3 一般形と予想

2 節の計算結果、および (1) から、 $J_{n+1/2}$, $N_{n+1/2}$ は、いずれも
$\displaystyle \sqrt{\frac{2}{\pi x}}\,\frac{f(x)\sin x + g(x)\cos x}{x^n}
$
$f,g$ は多項式の形になることがわかる。 よってあとはこの $f,g$ の部分を求めればよいことになる。

2 節の結果から、$J_{n+1/2}$ に 対する $f,g$ ($\sin x$, $\cos x$ の係数) は、 $N_{n+1/2}$ に対する $g,f$ ($\cos x$, $\sin x$ の係数) と 符号の違い程度であることが予想でき、 また、$f$$g$ の次数は一つ違っていて、 その次数の高い方も、$n$ の増加に対して入れ替わると予想される。 よって、

  $\displaystyle
J_{n+1/2}(x)
= \sqrt{\frac{2}{\pi x}}\,\left\{
\frac{\phi_n(x...
...{2}\right)
+\frac{\psi_n(x)}{x^n}\cos\left(x-\,\frac{n\pi}{2}\right)
\right\}$ (3)
と置いて考えていく。$\phi_n(x)$ が次数の高い (と予想される) 方である。
$\displaystyle \mbox{\boldmath {$v$}}_n = \left(\sin\left(x-\,\frac{n\pi}{2}\rig...
...t)\right),
\hspace{1zw}\mbox{\boldmath {$\alpha$}}_n = (\phi_n(x), \psi_n(x))
$
とすると、
$\displaystyle J_{n+1/2}(x)=\sqrt{\frac{2}{\pi x}}\,
\frac{\mbox{\boldmath {$\alpha$}}_n\mathop{・}\mbox{\boldmath {$v$}}_n}{x^n}
$
と書け、 $\mbox{\boldmath {$v$}}_n$ の最初の 4 つは
$\displaystyle \begin{array}{ll}
\mbox{\boldmath {$v$}}_0 = (\sin x,\cos x),
&...
... (-\sin x,-\cos x),
&
\mbox{\boldmath {$v$}}_3 = (\cos x,-\sin x)
\end{array}$
で、あとはこの繰り返しとなる。 ここから、 $\mbox{\boldmath {$\alpha$}}_n$ の最初の 3 つを見てみると、 2 節の計算より、
  $\displaystyle
\mbox{\boldmath {$\alpha$}}_0=(1,0),
\hspace{1zw}\mbox{\boldmath {$\alpha$}}_1=(x,1),
\hspace{1zw}\mbox{\boldmath {$\alpha$}}_2=(x^2-3,3x)$ (4)
となることがわかる。

一方、$N_{n+1/2}$$x^n$ の分子の $f(x)\sin x+g(x)\cos x$ の部分は、 丁度

\begin{eqnarray*}-\cos x
&=&
(1,0)\mathop{・}(-\cos x,\sin x)
\ =\
\mbox{\b...
...
\mbox{\boldmath {$\alpha$}}_2\mathop{・}\mbox{\boldmath {$v$}}_3\end{eqnarray*}
となっているので、
$\displaystyle {
N_{n+1/2}(x)
\ =\ \sqrt{\frac{2}{\pi x}}\,\frac{\mbox{\boldmath {$\alpha$}}_n\mathop{・}\mbox{\boldmath {$v$}}_{n+1}}{x^n}}$
  $\textstyle =$ $\displaystyle \sqrt{\frac{2}{\pi x}}\,\left\{
\frac{\phi_n(x)}{x^n}\sin\left(x-...
...\pi\right)
+\frac{\psi_n(x)}{x^n}\cos\left(x-\,\frac{n+1}{2}\pi\right)
\right\}$ (5)
となることが予想される。

ここまでをまとめて、今後以下のことを示すことにする。

  1. $\phi_n(x)$$n$ 次式、 $\psi_n(x)$$(n-1)$ 次式 ($n\geq 1$ のとき)
  2. $n$ が奇数の場合は $\phi_n$ は奇関数、$\psi_n$ は偶関数で、 $n$ が偶数の場合は $\phi_n$ は偶関数、$\psi_n$ は奇関数
  3. $\phi_n$$\psi_n$ に関する微分のない漸化式を得ること
  4. (5) が成り立つこと

竹野茂治@新潟工科大学
2022-01-11