3 一般化について

2 節では $N=10$, $m=3$ の場合について考察したが、 しかしこれを一般化するのは容易ではない。 例えば $N=10$, $m=4$ の場合を考えてみる。

この場合、例えば 7 回で終わる (3 回余計にかかる) のは、 3 回分前に出ているものと同じものが 6 回目までに出る場合で、 それぞれの確率は、それまでに出ている数の個数に応じて 1/10, 2/10, 3/10 となる。 よって、$p_7$ は、

\begin{displaymath}
p_7 = \frac{9}{10}\,\frac{8}{10}\,\frac{7}{10}
\sum_{1\leq i...
...\leq i_3\leq 3}
\frac{i_1}{10}\,\frac{i_2}{10}\,\frac{i_3}{10}
\end{displaymath}

となる。この場合は、 $1\leq i_1\leq i_2\leq i_3\leq 3$ となるすべての $(i_1,i_2,i_3)$ の組を上げて数えてみれば求められなくはないが、 一般には、
\begin{displaymath}
p_{k+4}=\frac{9}{10}\,\frac{8}{10}\,\frac{7}{10}
\sum_{1\leq i_1\leq\ldots\leq i_k\leq 3}
\frac{i_1}{10}\cdots\frac{i_k}{10}
\end{displaymath}

であり、この最後の和を求めるのは容易ではない。一応、
\begin{displaymath}
S(k,r)=\sum_{1\leq i_1\leq\ldots\leq i_k\leq r}i_1\cdots i_k
\end{displaymath}

とすると、
\begin{eqnarray*}S(k,r)
&=&
\sum_{i_k=1}^r i_k
\sum_{1\leq i_1\leq\ldots\leq...
...\leq i\leq r}i=\frac{1}{2}r(r+1),
%\\
\hspace{1zw}
S(k,1) = 1\end{eqnarray*}


などの性質を用いれば、 小さい $r$ に対しては $S(k,r)$ を順次決定できなくはないが、 かなり大変である (詳しくは 6 節を参照)。

よって、一般の場合を考える場合は、別な方法をとる方がよい。

竹野茂治@新潟工科大学
2008年5月24日