3 その他の不等式
2 節の と との違いをよりわかりやすく見るために、
(3) を の関数とみて、グラフに書いてみることにする。
なお、ここでは簡単のため としてみる。
このとき、 は (3) より、
となるので、グラフは図 2 のようになる。
図 2:
と (破線) のグラフ
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このグラフの横軸は 3 等分されているが、縦軸は 4 等分されている。
これは、 の値が 0 から までの 通りあるのに、
では
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(6) |
という不等式を利用していることに由来する。よって、むしろこれに変えて、
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(7) |
や、
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(8) |
という不等式を利用する方が自然であると思われる。
(7) を利用する場合は、この左辺は の実数値で、
(8) を利用する場合は、この左辺は の実数値となる。
これらの不等式を利用した場合の確率をそれぞれ , とすると、
(2) より、
となる。
(4) より、, は、
を満たすので、 との差は、
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(11) |
と評価される。
が十分大きければ、(11) から
, も に十分近いことがわかるが、
は 以下、 は 以上であり、
(5) と比較してみても、(11) の
, はそれほどよいとも言えないように見える。
, を の関数と見ると、 の場合は、
であるので、グラフは図 3 のようになる。
図 3:
と のグラフ
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見てわかる通り、この , の中間のようなグラフが
むしろ に近いことがわかる。
, の中間のようなグラフとしては、
例えば次の 2 種類が考えられる:
例えば のときは、
であり、これらのグラフは図 4 のようになる。
図 4:
と のグラフ
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は を上に ずらしたもの、
は を左に ずらしたものとなっている。
方向は違うが、いずれも とのずれは同じ位になっている。
は、(9), (10), (12) より
なので、例えば 2 回に 1 回 (7) を使い、
2 回に 1 回 (8) を使えば、その確率は となる。
一方 は、
であるので、
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(14) |
という不等式を用いれば になる。
もちろん、 よりも の方が実装は容易である。
竹野茂治@新潟工科大学
2007年5月31日