この補題は、列の両端にその最小のものを配置したような 並びのうちの の最大値を考えた場合、 その両端以外の最小要素 が、列全体の最小要素 と 隣接しないものよりは隣接するものの方が大きくなる (厳密にはそれ以上になる) ことを示していて、 よって最大値もそのような形の並びの中にあることになる。
この補題 1 は、反転列を用いて構成的に証明するが、 その手法はこの後も用いる。今回は少し丁寧に説明する。
は を左端に持たないので、
これらの列の違いは、 の部分が 逆転しているところで、 その部分に対する の値と、 の部分に対する の値は 両者で共通である ( )。
よって、 と の違いは、 その境界部分だけであり、その項は、 の方は (10) より ( と の境界) と ( と の境界)、 の方は (11) より と ( と の境界) となる。 よって、
これは、例えば
この補題 1 を使えば , の最大値を与える 並びを決定することができる。 まず を考える。
の並べかえ に対し、列 を考えると、 で、 より補題 1 を適用でき、 を最大にするには は の左端 (または右端) に置く方が良いことがわかる。
よって とし、次は列 を考える。
以下同様にして (この後は 0 は追加しなくてよい)、 の左端が 、右端が 、と 端からジグザグ順に小さいものを並べるときに大きくなることになり、 最終的に の最大値を与える並びは、
次は、 を考える。これは巡回的なので、 左端は任意の に固定して考えればよいので、それを とし、 とする。このとき、
なお、最大値を与える並びは一意には決まらない。 左右を反転させたものや、 の場合にはそれを 巡回的にずらしたものももちろん最大値を与えるが、 それだけではない。
例えば、 の場合には、 最大を与える並び (13) は、 となるが、3 が 2 つ入っているため、 そこから先 (内側) は左右のジグザグ順を逆にしても は同じ値になる:
竹野茂治@新潟工科大学