なお、現在 (2018 年 11 月 12 日) の日本語版の Wikipedia に 「二重振り子」の項目があり ([1])、 そこに の場合の二重剛体振り子 (物理振り子) の方程式が 書いてあるのだが、 それは少し (19) の方程式とは係数が違っている。 の係数と対角成分の係数が違っているのであるが、 前者は記載ミス、後者は剛体棒の慣性モーメントを 考慮していない値ではないかと思われる。 実際、大学の図書館で力学の演習書を見てみたところ、 [2] p171、および [3] p177 に は、同じ問題の解として (19) と 同じ式が書かれている。
なお、方程式 (22) の解であるが、 で などを計算してみたところからすると、 一般の に対しても多分 であると思われ、 よって (22) は正規形の方程式になるので 局所解の存在は当然言える。 しかし、方程式に が含まれるため、 解の大域的な存在を証明することはそれほど易しくはないと思われる。 ただし、既に論文等で方程式 (22) の解の 大域的な存在が否定されている (反例がある) のか、 それとも大域的な存在が示されているのかは私は知らない。
ちなみに、私は全体の長さ を一定にして、 にしたような物理モデルである、 いわゆる「くさり」の偏微分方程式に興味があり、 その方程式の解析、あるいは数値計算のための近似として 重剛体振り子が使えないかと思って考え始めたのであるが、 今のところその解析も数値計算もあまりうまくいっていない。 それは、 重剛体振り子の方程式 (22) 自身が 陽の形ではないために数値計算自体が面倒なこともあるが、 が多くなると先の方 () の動きが激しくなってしまうのが その原因ではないかと思う。 そのような現象は、「くさり」の方程式を単純に差分化した場合も現れるので、 その意味では 重剛体振り子が期待通りにくさりの近似になっている のかもしれないが、結局どちらでもうまくいかないことになっていて、 まだこちらの研究は先は長そうである。
竹野茂治@新潟工科大学