4 6 次方程式への帰着

今、例えば 2 重根号
\begin{displaymath}
x=\sqrt[3]{3+\,\frac{11}{9}\sqrt{6}}\end{displaymath} (20)

を外すために、普通にこの $x$ が満たす代数方程式を求めると、 (20) をまず 3 乗して
\begin{displaymath}
x^3= 3+\,\frac{11}{9}\sqrt{6}
\end{displaymath}

となり、3 を移項して 2 乗すれば
\begin{displaymath}
(x^3-3)^2 = \frac{11^2\times 6}{3^4}
\end{displaymath}

が得られ、よって有理数係数の 6 次方程式
\begin{displaymath}
x^6-6x^3+\,\frac{1}{27} = 0
\end{displaymath}

が得られる。 もし、この方程式の 2 次式の因数をなんらかの方法で見つけて
\begin{displaymath}
x^6-6x^3+\,\frac{1}{27}
= \left(x^2-2x+\,\frac{1}{3}\righ...
...(x^4+2x^3+\,\frac{11}{3}x^2+\,\frac{2}{3}x+\,\frac{1}{9}\right)\end{displaymath} (21)

と因数分解とし、そして $x$
\begin{displaymath}
x^2-2x+\,\frac{1}{3} = 0
\end{displaymath}

の解で、よって $x=1+\sqrt{6}/3$ であることを知る方法があれば、 このような手順でも 2 重根号を外すことができるかもしれないが、 この道筋には、以下のような難点がある。 前者も易しくはないが、 後者は $x$ が残りの 4 次方程式の解ではないことを示す必要があり、 (21) の場合には その 4 次方程式が実数解を持たないことから示されるのであるが、 それをちゃんと示すのは易しくない。

よって、この 6 次方程式を経由する方法は良い方法ではなく、 次節では 3 節で紹介した 3 次方程式の解を 利用する方法を紹介する。

竹野茂治@新潟工科大学
2018-03-02