3 3 次方程式の解法
本節では、3 次方程式の一般的な解法 (解の公式) を紹介する。
本稿では、
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(8) |
の形の 3 次方程式についてのみ説明するが、より一般の
の形の 3 次方程式を (8) の形に
帰着させるのは難しいことではない (例えば [1] 参照)。
また、係数 , は本節では実数とするが、
その他の節では原則有理数のみを扱う。
(8) において として代入すると、
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(9) |
が得られる。ここから
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(10) |
を満たす , を求めて とする、
というのが一般的な 3 次方程式の解法 (解の公式) である。
なお、(9) から (10) が
成り立たなければいけないわけではないが、
(10) が成り立てば (9) は
当然成り立つ。そして、(10) から
3 つの解はすべて得られる、という仕組みになっている。
また、, , は一般には複素数である。
(10) より、, は、2 次方程式
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(11) |
の解となる。この方程式の判別式
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(12) |
の符号により、場合分けして考える。
まずは の場合であるが、
この場合 (11) は異なる 2 つの実数解
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(13) |
を持つ。, と対応させれば、
より
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(14) |
となる。ここで、 は
で、
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(15) |
を満たす。
なお、(11) の解と係数の関係より、
なので、
より
となるから、
(14) の の
組み合わせのうち、(10) の を
満たすものは
の 3 種類であることがわかる。これにより、
3 次方程式 (8) の解は
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(16) |
と表される。最初のものは実数であるが、
より後の 2 つは虚数となる。
よって、 の場合は、方程式 (8) は 1 つの実数解と 2 つの虚数解を持つことになる。
, は (13) のように平方根で表されるので、
一般にはこの解には (1) の形の 2 重根号が
含まれることになる (
,
の
場合)。
次は の場合であるが、この場合は
となり、また (15) より
なので、
解は
の 2 つであることがわかる (後者は重解)。
この場合は解には 2 重根号は現れない。
最後は の場合であるが、この場合 , は
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(17) |
の虚数となる。つまり , は「虚数の 3 乗根」となるが、
それを認めれば、形式的に (16) と同じ式が
解となる。以下でこの虚数の 3 乗根について少し説明し、
その式の意味をもう少し明らかにする。
虚数 (
, ) に対して、
となる複素数 を の 3 乗根と呼ぶが、
その実部と虚部を , で表すのは難しい。
を極座標表示して
() とすると、
となる は
と表される。これが の 3 乗根であり、複素数では 3 つあることになる。
今、(17) の を
() と極座標表示すると、
(12) より
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(18) |
となる。また、 は の共役であるから
となり、よって , はそれぞれ
となる。この中で (10) の となるのは、
(18) より
なので、
の 3 種類となる。これらはいずれも となっているので、結局
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(19) |
のように表されることになる。
よって、この の場合は 3 つの実数解が得られる。
なお、この 3 つの実数解 (19) については、
最初から方程式を の 3 倍角の公式と比較して
解を三角関数 (と逆三角関数) で表現する方法もあるが ([1] 参照)、それは結果的に (19) と
ほぼ同等である。
本稿で必要となる、「実数の範囲での 3 乗根と平方根の 2 重根号」
が現れるのは、結局 の場合の唯一の実数解となる。
竹野茂治@新潟工科大学
2018-03-02