5 ベッセルの方程式への帰着と境界条件
さて、3 節に戻って、
(10) を満たす を求めることにする。
それには、方程式 (10) を変数変換して、
ベッセルの微分方程式 (11) に帰着させる。
今、
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(18) |
とすると、
となるので、これらを (10) に代入して整理すると、
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(19) |
が得られる。よって、
となるように ,
とし、
となるように、 とすると、
(19) は のベッセルの方程式となる。
よって、この は、4 節に述べたように
と書けるので、元の に戻すと、
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(20) |
となる。
この は、もちろん では有界である必要があるが、
4 節に述べたように は で有界ではないので、
でなければならない。
よって、 は での境界条件がないまま (厳密には、「 は有限である」という境界条件によって)、
1 つの任意定数が決定されて、
となる。これを 3 節の に戻せば、
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(21) |
と書ける。
さて、この (21) が、境界条件 (3) を満たすためには、
すなわち、
が の零点である必要がある。
よって 4 節の (16) により、 は
という離散的な値のいずれかであることになる。
方程式 (8) は線形であるから、
この に対する (21) の重ね合わせ
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(22) |
も (8) の解となる。
これが初期条件 (2) を満たすとすると
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(23) |
となるが、
4 節のフーリエ・ベッセル展開 (17) により
となり、この , とフーリエ・ベッセル展開の完全性により、
(23) が確かに , を表すことがわかる。
よってこの , による (22) は、
方程式 (8) の
初期条件 (2) と境界条件 (3) を満たす解となることがわかる。
つまり、 の場合の方程式 (8) は、
での境界条件 (6) は必要なく
解がちゃんと決定することになり、
これは、 の場合とは状況が異なる。
つまり での境界条件 (6) の必要性は、
方程式 (5) の主要部 (4) のみでは決定せず、
低階の項 の係数に依存するものであることがわかる。
竹野茂治@新潟工科大学
2009年6月22日