5 漸近的な様子
さて、 が大きくなると、 は 0 に収束していくから、
(16), (17) より、
のときに
と収束することがわかる。
, は (18) により、
のようになる。
これらの極限を
のように書くことにすると、
結局以下のようになる。
|
(19) |
は、かなり速く 0 に近づくので、
数世代でほぼ (19) の値になる。
は、
|
(20) |
であり、つまりこの最初の世代の比率で与えられる の値によって、
安定的な比率 (19) が決定することになる。
なお、
,
,
なので、
(2 になるのは , のとき) であり、
であるから は 0 から 1 までの値を取り得る。
安定的な比率の式 (19) を見ると、
は
であるから、
は言える。つまり、男性のその性質を持つ割合 は、
女性のその性質を持つ割合 よりは確かに多くなる。
しかし、その他の大小関係は、
の値によって色々な上下はありえて、
グラフを書いてみればわかるが、
それらは
でそれぞれ大小が変化する。
例えば であれば、
のようになる。
元々の話の場合は、 が 0 に近い場合であるが、
この場合は は 2 次なのでかなり小さくなる。
例えば
であったとすると、
であるから、確かに女性のその性質を持つ割合は、
男性に比べてはるかに小さくなる。
ただし、この場合は
となるので、女性のうち潜在的にその因子を持つ割合 は、
の倍位いることになる。
竹野茂治@新潟工科大学
2007年9月4日