4 回転体の重心

次に、立体状の回転図形 (軸対称図形)、 すなわち平面内のある領域が作る回転体の重心の計算を考える。

$xh$ 平面内の $h\geq 0$ の部分にある領域 $D$$x$ 軸の回りに 回転させたときに $xyz$ 空間内に作られる回転体を $V$ とする。 その密度 $\rho(\mathrm{P})$$x$ 軸に関して回転対称であるとし、 $D$ 内の点 $(x,h)$ のみでそれが決まるとして、 それを $\rho_2(x,h)$ とする ( $\rho(\mathrm{P})=\rho_2(x,h)$)。

この場合、$V$$x$, $h$, $\theta$ をパラメータとして、

\begin{displaymath}
V:\hspace{0.5zw}\mbox{\boldmath$r$}=\mbox{\boldmath$r$}(x,h,...
...eta, h\sin\theta)
\hspace{1zw}((x,h)\in D, 0\leq\theta<2\pi)
\end{displaymath}

と表される。この $\mbox{\boldmath$r$}$ のヤコビアンは、
\begin{displaymath}
\vert\nabla\mbox{\boldmath$r$}\vert
=\frac{D(x,y,z)}{D(x,h...
... 0&-h\sin\theta&h\cos\theta
\end{array}\right\vert
= h (>0)\end{displaymath} (12)

となるので、

\begin{eqnarray*}\int_V\rho(\mathrm{P})dv
&=&
\int\!\!\!\int _D dxdh\int_0^{2\...
...=&
\left(2\pi\int\!\!\!\int _D xh\rho_2(x,h) dxdh, 0, 0\right)\end{eqnarray*}

となるので、 重心 G は $x$ 軸上にあり、その $x$ 座標 $g_x$
\begin{displaymath}
g_x=\frac{\displaystyle \int\!\!\!\int _D xh\rho_2(x,h)dxdh}%
{\displaystyle \int\!\!\!\int _D h\rho_2(x,h)dxdh}\end{displaymath} (13)

となる。

特に、領域 $D$ が、ある関数 $h=f(x)$ の下の部分、すなわち、

\begin{displaymath}
D=\{(x,h); a\leq x\leq b, 0\leq h\leq f(x)\}
\end{displaymath}

であり、かつ密度 $\rho_2(x,h)$$h$ によらず一定、 すなわち $\rho_2(x,h) = \rho_3(x)$ である場合は、

\begin{eqnarray*}\int\!\!\!\int _D h\rho_2(x,h)dxdh
&=&
\int_a^b \rho_3(x)dx\i...
...int_0^{f(x)}h dh
 =\
\frac{1}{2}\int_a^b x\rho_3(x)f(x)^2 dx\end{eqnarray*}

より、$g_x$
\begin{displaymath}
g_x=\frac{\displaystyle \int_a^b x\rho_3(x)f(x)^2 dx}%
{\displaystyle \int_a^b\rho_3(x)f(x)^2 dx}\end{displaymath} (14)

となる。
竹野茂治@新潟工科大学
2019-03-05