4 条件 II を満たす関数

求めたいのは「任意の正数 $A$」に対して条件 II を満たすような 関数であるが、この $A$ の任意性を除けば、 条件 II を満たす関数は比較的たくさんある。

まず、$A\neq 1$ ならば $p\neq 0$ であることに注意する。 もし $p=0$ だと、(8) は

$\displaystyle Ah(y)=h(y)
$
となるので、$A\neq 1$ より $h(y)\equiv 0$ となるので、 よって $p\neq 0$ である。

今、

  $\displaystyle
h(y) = A^{y/p}u(y)$ (9)
とすると、$u$$A$, $p$ に依存するが実数 $y$ に関して連続で、 (8) は、
$\displaystyle AA^{y/p}u(y) = A^{(y+p)/p}u(y+p)
$
となり、よって
  $\displaystyle
u(y) = u(y+p)$ (10)
となるので、$u$ は連続な周期関数で、周期 $\vert p\vert$ を持つ。 逆に $u$ が周期 $\vert p\vert$ を持つ周期関数であれば、 (10) より (9) は条件 II を満たすことになる。 よって条件 II を満たす関数は、周期関数の任意性の分だけたくさんある。

しかし元の問題は、$h$ は任意の $A$ に対して条件 II を満たす 必要があるので、そこでかなり制約され、$h$ が決定できるようになる。

竹野茂治@新潟工科大学
2023-07-24