8 漸化式の解
本節で、漸化式 (35) の解、
すなわち
) を
具体的な式で書き表す。
なお、分母の
が 0 ではないという
保証もないので、それも同時に考える。
まずは の場合を考える。
(35) で とすると、
(32) より で、
(46)
となる。よって特に
(47)
であるが、
と
は の
列ベクトルだから線形独立で、よって補題 6 より
であることが保証される。
そして、これに対し (35) で とすると、
(48)
となる。これを、(46) を用いて で表す。
(48) の行列式の 4 つの成分は、
(46) より、
なので、その行列式部分は、いずれも
(49)
の小行列式となっていて、具体的には、
なので、これらを (48) に代入すると、
となる。ここで、命題 2 (正確には系 5) より、
となるので、よって、(50) は
(51)
となる。
次は、
の一般項を求める。
まず、
(52)
とし、
とすると、
は (47) より
で、
は (51) より
となることがわかる。これらより、
(
)、
および
(
) を
(55)
と予想し、これを帰納法で証明する。
なお、すべての に対し であることは、
補題 6 により保証されるので、
(55) が成り立てば、
も言えることになる。
に対しては上で示した通り成立する。
なお、 と考えれば、 に対しても
(46) より
なので (55) は でも成立することになる。
以下、
までは成立したとして、 の場合に
成立することを示す (
)。
(55) の後者の の式より、
は成立するので、これで (55) の の最初の式が得られる。
後は (55) の後者の の式を示せばよい。
漸化式 (35) より、
となるが、帰納法の仮定、すなわち (55) の
後者の の式より、
であり、これらの分子は、いずれも
の余因子と書ける。すなわち、
なので、命題 2 (正確には系 5)、
および
より、
となり、これで (55) 後者の の
式も得られた。
これで、帰納法により確かに (55) が
成立することが証明された。
よって、(55) で とすれば、
最終的な係数
(56)
が得られる。
竹野茂治@新潟工科大学
2022-08-19