今、 はすべて異なる実数とし、
とする。のとき、 は、部分分数分解により、
の形になるはずである。この両辺を 倍すると、 のようになり、 が の 1 次式で 表されることになる。逆に言えば、 の部分分数分解は、 分子 を の 1 次式で表現することと 言い換えることができるが、 それはラグランジュ補間を利用することで可能となる。
「ラグランジュ補間」とは、ある関数 に対して、 その () での値 () を 使って を多項式近似する一つの方法であり、
によって定義される整式である。任意の実数 () に対し、 () となる 次以下の整式 は常に存在し、そしてそれは (7) の に一致する (それのみである)。
逆に 次以下の整式 は、 () とすれば (7) の形に変形される。
証明
はすべて異なるから であり、 よって 次以下の整式 は確かに (7) によって定義される。 では、 に対し であり、 よって となる。これで前半が示された。
逆に、 次以下の整式 に対し () としそれに対する (7) を 考えると はすべての に対し で 0 に なるから、
(7) の右辺は の 1 次式であり、よって命題 2 より 次 以下の式はラグランジュ補間によって の 1 次式で表されることになる。 よって、(6) により これで の部分分数分解ができることになる。 すなわち、 に対して 命題 2 より
となり、商 は、 と部分分数分解されることになる。これで分母が異なる 1 次式の積の場合には、 整式の商は、未定係数法によらなくても ラグランジュ補間公式により部分分数分解できることがわかった。
この計算は、見てわかるように実質ラグランジュ補間の計算と同じなので、 実はラグランジュ補間を使うメリットはあまりないこともわかる。
竹野茂治@新潟工科大学