2 未定係数法

まず、未定係数法による部分分数分解の例を紹介する。

例えば、

$\displaystyle \frac{10x}{(x-3)(x^2+1)}
$
の場合は、
$\displaystyle
\frac{10x}{(x-3)(x^2+1)}
= \frac{a}{x-3} + \frac{bx+c}{x^2+1}$ (1)
のように、部分分数分解後の形を「部分分数分解の原理」([2]) に 従って想定し、その形の未定係数を用いた式で表し、 これが恒等式となるように $a,b,c$ を決めるというやり方である。

(1) の分母を払うと,

$\displaystyle 10x = a(x^2+1) + (bx+c)(x-3)
= (a+b)x^2 + (c-3b)x + (a-3c)
$
となり、これが恒等式となるためには、各次数の係数を比較して、
$\displaystyle \left\{\begin{array}{l}
a+b=0\\
c-3b=10\\
a-3c=0\end{array}\right.$
となることが条件。 これを解いて $a=3,b=-3,c=1$ が得られ、 よって (1) は
$\displaystyle
\frac{10x}{(x-3)(x^2+1)}
= \frac{3}{x-3} + \frac{-3x+1}{x^2+1}$ (2)
となる、という方法である。

竹野茂治@新潟工科大学
2024-12-06