複素数 ( は実数、) に対して、 複素指数 は、オイラーの公式と指数法則を用いて
また、この に対し、 の範囲の の 偏角を「偏角の主値」と呼んで、 のように書くことがある。この範囲では偏角は一意的に決まる。 当然、 である。
結局、 (不定の は の中に含まれる と考えることができる) より、 は以下のように定義されることになる。
ここで、後で使用する偏角に関する性質を、以下にいくつか紹介する。
, に対して、次が成り立つ。
これらは、
, に対して、
また、 は、 を使って以下のように表すことができる。
() に対して、
これは、
の定義から容易にわかる。
命題 2 より、 は、 , の 2 変数関数として各象限で滑らかであり、 (6) より実軸 ( 軸) の の部分でも 滑らかにつながり、(7) より虚軸 ( 軸) の の部分、 の部分でも滑らかにつながっていて、 実軸の の部分では不連続になっている:
実数値変数 の滑らかな複素数値関数 () に対して、 は の値が実軸の左側と交わるところで不連続、 それ以外では滑らかな関数となる。
は常に の整数倍の不定性を持つことになるが、 逆にそのことを利用して、 の場合に実軸の左側を越えるときに生じる不連続性を 吸収するように不定部分を選ぶことで、 すべての に対して滑らかにできる、と考えることもできる。 しかし、そのようにするには複素関数論の「リーマン面」の理論が 必要になるので、ここでは詳しくは触れない。
複素対数の主値 に対して、以下が成り立つ。
実数値変数の複素数値関数 () に対して、 が滑らかな範囲で、
証明
は、 の 範囲では (6) より、
よって、その範囲では導関数は、
形式的には、(8) は通常の
実数値関数に対する公式
命題 3 から、 実数変数の複素数値関数の積分公式
竹野茂治@新潟工科大学