次へ: 4 補題の証明
上へ: 複素数を利用した有理関数の積分
前へ: 2 共役による対称性
(PDF ファイル: quotef4.pdf)
3 偶数次、奇数次による対称性
により (2) は、
|
(5) |
になるが、左辺が偶数次の項のみなので、
これを利用すると の形はもう少し限定することができる。
容易にわかるように、
は、
|
(6) |
のように書ける。
ここで、, , , は
実数係数の整式で、その次数は
|
(7) |
となる。
の係数を実数部分と虚数部分に分離して、
( は実数係数の整式) とすると、
であり、
また
であるから、
(5) より、
|
(8) |
となる。
が偶数の場合、
は高々 次の多項式だから、それを偶数次と奇数次に分けて
|
(9) |
のようにすると、
であり、(6), (8) より、
となる。左辺は偶数次の項しかないので、右辺の奇数次の項の和は 0、
すなわち
が成り立つことになる。よってすべての に対し、
|
(10) |
が成り立つ。
しかし、後で示すように、 と は互いに素なので、
と も互いに素であり、この式の多項式の次数は
となっている。(10) より、
であり、左辺の因子 は右辺の因子でもあり、
と は互いに素なので、
は の因子でなければいけないが、
次数を比較すれば でなければならないことがわかる。
よって、 にもなる。
結局、 が偶数の場合は、
となるので は
|
(11) |
の形になることになる。
同じように が奇数の場合を考えてみると、
は高々 次の多項式だから、
同様に (9) のように分けると、, の次数は
となる。(6), (8) より、
となり、この場合は
|
(12) |
が成り立つ。
と が互いに素なのでこの と も
互いに素で、次数は
であるから、
を考えると
と は互いに素なので
は の因子でなければならないが、
次数を比較すればそれは を意味し、よって にもなる。
よって、 が奇数の場合は、
となることになる。
以上をまとめると、以下のようになる。
命題 1
(5) を満たす高々 次の整式 は、
- が偶数の場合は、偶数次の係数は実数、奇数次の係数は純虚数
- が奇数の場合は、奇数次の係数は実数、偶数次の係数は純虚数
でなければならない。
次へ: 4 補題の証明
上へ: 複素数を利用した有理関数の積分
前へ: 2 共役による対称性
竹野茂治@新潟工科大学
2006年6月2日